大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

♪音楽畑夏号

音楽畑夏号を発行しました。


<夏号Contens>

●巻頭言 本岡浩子 / 音楽博物館のいろいろな日常
●卒業・修士論文中間発表  [4回生] 小川富久子/奥坊由起子/服部桂
                  [院2回生] 池須安希
●お知らせ
●編集後記


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巻頭言をご紹介します。



【音楽畑 2009年度 夏号 巻頭言】


           音楽博物館のいろいろな日常

                                     本岡浩子

本学の音楽博物館では、世界各地の楽器を展示するだけでなく実際に音をだして楽しんでもらうようにさまざまな試みを実施している。入り口付近にヴァイオリンやアコーディオン、グラスハーモニカなどを置いた試演コーナーがある。これが人気スポットのひとつである。指に水をつけてグラスのふちをぐるぐるまわすと透明感のある音が響くグラスハーモニカ。同じ原理の改良楽器があるが、そのためのモーツァルトの曲は有名だ。ヴァイオリンの場合は弓の持ち方がかなり難しい。知っていても実際には思っているほどうまくはいかないもの。だが、試す毎に少しずつ慣れていくのを実感できるのはとても楽しいことのようだ。
 月2回のガイドツアーは説明と実演つきでこれも人気を得ている。ここでも、来館者みずからいろいろな楽器に触れて音を出しておられることが多い。また、授業での活用も増えて、時に私も参加することがある。先日のこと、「クラヴィコードからスタートして18世紀末、19世紀前半のピアノへと、その時代の人になったつもりで体験しましょう」という担当の先生の誘導で、まずクラヴィコードを紹介し、この楽器独特の「ベーブング」という奏法を説明した。これは、「震え」という意味で、いわゆるヴィブラートである。鍵盤を弾き音が整った瞬間に上下に振動を加えるもので、カール・フィリップエマヌエル・バッハは楽譜にスラーと5つの点で記している。
 この時の受講生の反応は当初の予想を遥かに超えていて、なんと全員が果敢にこの奏法を試し始めた。そして、感嘆の声を上げて、口々に「面白い」「たのしい」と代わる代わる夢中になって試し続けたのである。あたらしい感覚に対する新鮮な反応。いつも弾いている楽器とは違う感触を心から楽しんでいる姿。どんなことからも、なにかを見つけだして自分のものにしてしまう学生たち。ハッとさせられる授業光景であった。


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昨日で前期の授業が終了しました。
夏休み前に音楽畑を発行する予定だったのですが、遅くなってしまいました。
みなさま、ごめんなさい。

学校に来た時、資料室に来た時は、ぜひお持ちください。
夏号の表紙は、花火です☆


(く)