大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

★楽器製作室だより(音楽畑秋号より)

音楽畑(専攻情報誌)秋号に掲載されている楽器制作室だよりです。本当は、すてきな写真が数枚あるのですが、画像のコピーができないために今回もテキストのみになりました。でも、わかりやすく書いてくださっているので、楽しめると思います。

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【製作室だより】

●●●●● 大長志野(音楽学専攻アシスタント)


 太陽が沈むのは早くなってきたけど、本当に秋はくるのかなぁ…と思ってしまうほどの暑い日が続いていましたが、ようやく、秋の気配がしてきたように思います。こんにちは、大長です!
 前号の制作室だよりでは、修理中のチェンバロの弦張りの模様を簡単にご報告させていただきました。あれから、その楽器は鍵盤の調整に入っています。(楽器の鍵盤の調整については、音楽畑No.7の楽器製作室だよりでも少しお伝えしましたが、今回は違う楽器という事で、またもや書かせていただきます)

 普段何気なく楽器だけを見ていると、鍵盤部分は楽器と一体化しているように見えるかもしれないですが、鍵盤部分は楽器本体にスポット入っていて、その部分はゴソっと取り出す事ができます。調整する際は、その部分を取り出してよくよく見ながら進めていきます。
 
 一つ一つの鍵盤は、それぞれ軸になっているピン(バランスピン)を支えにして動いているのですが、今回の調整では、まず始めに、そのピンに対して、鍵盤が均等に動いているかチェックをしました。

●前後の振れ幅は均等かな!?
1.バランスピンの幅を鉛筆で印をつける。
2.鍵盤を押したりはなしたりして、鍵盤が動く際にその印を軸として前後均等に動いているか確かめる。
3.もし、均等でなければ、バランスピンを前後どちらか必用な方向に動かし、鍵盤の動きが均等になるように調整する。

 その作業ができると、次はバランスピン自体がまっすぐ立っているかを見ます。

●まっすぐかしら!?
1.鍵盤をバランスピンからはずし、直角なもの(三角定規の直角部分など)をあてて、ピンが垂直に立っているかを観察する。
2.垂直でないものは、左右どちらか必用な方向に動かし、バランスピンが垂直になるように調整する。

 その作業ができると、また鍵盤を戻し、次は鍵盤自体傾き、高さをチェックします。

●鍵盤が傾いていないかな!?そして、高さが揃っているだろうか・・・
1.鍵盤の上に一本の棒を置き、それを基準に傾きがあるものを探す。(見るときは、目線は鍵盤と同じ高さ)
2.傾いている鍵盤があれば、バランスピンホール(バランスピンがはいる部分)に埋め木をするのですが、例えば右が下がって傾いている鍵盤があれば、バランスピンホールの内側の右側面にうすーい木を貼って、傾きをなくしていきます。
3.全体的に傾きが無くなってきたら、高さも揃えていきます。他の鍵盤より高さが低いものには、バランスピンにパンチングシートを追加して、高さを加えていきます。低いものからは、パンチングシートを抜いたり、薄いものに取り替えたりして、鍵盤達が仲良く肩を並べられるよう、調整していきました。


 白鍵が終わったら黒鍵も同じようにして、作業を進めていきます。
 細いすき間や微妙な変化をしばらく見て、目がチカチカしたり、遠くの景色が恋しくなったり(私だけでしょうか…)しながらの作業でしたが、わずかな変化が大きな達成感に変わるような、そんな作業でした。
まだ作業は続きそうです。是非きてみてください!(弾ける楽器もありますよ)


(楽器製作室:K号館501 水曜日10:00〜17:00/木曜日14:00〜17:00)