大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

ニューフェース!

早くも2020年の折り返し点を通過しました。

なにかと数字に一喜一憂する日々が続いています。

さて、来週より音楽学資料室(H212)にニューフェース登場です。

かつて助手をつとめていただいていた織田優子さんが週一日、研究補佐として出勤されることになりました。織田さんはリコーダー奏者であり、また近年は北欧の民族楽器奏者としてもご活躍です。

昨年末にクリスマスコンサートを開かれ、そのトークと演奏にすっかり魅了されたことは以前このブログにも書きました。音楽学と実践をうまくご自身のなかで結びつけられています。

そして、もうひとつのニューフェースは今年3月にオペラハウスからお借りしたチェンバロ、フランスのアトリエ・フォン・ナーゲルの名器です。

なぜか製作者のラインハルト・フォン・ナーゲル氏とメッセージの交換ができました。こちらからお送りした写真に対して「この楽器の製作番号は当然知っているよね?」と写真が送られてきました。アトリエから出荷する前に刻まれた番号と1990年の文字です。

近い将来、このナーゲル社の響きをみなさんにお届けする日がくるかと思います、お楽しみに!

 

Reinhard von Nagel氏から送られてきた写真

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zoomで踊ろう!古典舞踊の授業

6/10の「音楽探検」(水曜2限・短大)は、専攻科「古典舞踊」(樋口裕子先生)の授業へお邪魔しました。

これは当初のシラバスで予定されていた内容です…といっても、昨年と大きく違うのは、遠隔授業でzoomだったことです。

樋口先生はご自宅から、履修の皆さんも、それぞれの場所から、教室とは違い限られたスペースでの受講です。
どんな風に進められているのか、興味津々です👀

昨日はルネサンス様式の舞踊に一区切り、今回からバロック様式に入る区切りのよい回でした。

踊りの大好きなルイ14世の時代、貴族たちにとっての「舞踏会」は、自身の今後にとって重要なプレゼンテーションの場だったようです。

お辞儀や帽子をとる仕草、ひとつひとつの所作も「みられるポイント」の一つだったそうです。

樋口先生からは、zoom上でルネサンスバロックで変化があった靴の形の比較や
貴重なレースも貴族たちの見せ場「ドレス」など貴重な資料の説明もいただきました。

レクチャーの後、zoomの画面は、先生の全身が映るようカメラを切り替え、首回り、上半身のストレッチの後、いよいよステップの実践です。
(すでにストレッチで骨がボキボキ…ほんの数分でしたが、ほぐれました!)

1、基本の足のポジション(クラシックバレエの1番、2番、3番…♪)

2、バロック様式の舞曲の最初に「ブレ(ブーレ)」のステップ、手の基本的な動き

バロック時代、手の動きがひじから先だけの動きなのは、ボディラインを美しく(withコルセット)みせるため、ドレスがぴったり作られていて、肩を大きく動かすには制約があったためだそうです、ふむふむ…】

3、「ブレ」の曲にのって踊ってみる!

数曲の音源とともに。最後は着いていけない速さ💦
バッハの「フランス組曲」はピアノ専攻現役学生時代に弾いた曲でもありましたが、重心が重すぎて踊れない演奏だったかも、反省しました…。

ポイントは
「1」で伸びあがるために、アウフタクトのプリエで準備ーーーーーーっ!そしてトンッ!と弾みをつけて伸びあがること。
足でドタドタはご法度×
そのためには、丹田を意識し、上半身を高く保つ意識で、と
「うーーーん、重たいドレスを着て、このハードな動き、貴族も体力勝負」
そして、難しいステップも重要な舞踏会で間違えると、後々まで噂されることから、必死で覚えたのだそうです。


踊りと音楽、そして貴族の生活スタイルや服飾など、バロック時代を幅広く体感できた90分でした。

zoom上ではありましたが趣向を凝らして進行される樋口先生の授業、
「音楽探検」履修の皆さんにも貴重な時間となりました。

樋口先生、専攻科の皆さん、ありがとうございました🌸

 

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オンライン授業は途中休憩が必要!

4週目に入ったオンライン授業。

当初はZoomを使う場合、40分を目安に、という大学からの指示がありました。

もちろん絶対に守るルールというよりも学生の通信環境を考慮してほしいという意味です。

これまで40分から1時間のあいだで授業を終えていましたが、学生からは「90分に戻してほしい」という声が届き始めました。

そこで、後半は質問コーナーとして通信環境が許す場合は90分まで残ってもらい、質問や学生が希望する内容を盛り込むことにしました。

そんな中、昨日は専攻科の樋口裕子先生の舞踊と音楽の授業に参加させていただきました。松本京子先生の「音楽探検」科目に便乗してのいきなりの申し出にも快くOKしていただきました。

ちょうど、4回目はルネサンスからバロックに移る1回目ということで、豊富な資料と図版、時代背景のレクチャーに続き、ダンスとしてはブレ(ブーレ)のステップを体験、とても速い動きにこちらは息があがり、ついていけませんでした。

4拍子の拍の取り方、身体運動を会得するとがぜん音楽を演奏する際にもリズム感が変わってくるはずです。

ブレに続き、次回からガヴォット、メヌエットなど代表的なバロックダンスが続くので、半期の受講で一通りのバロック・ダンスの基礎は身につくという充実の科目です。

また、先生のご自宅からなので、秘蔵の衣装や靴といった品々もどんどん紹介してくださいます。これも楽しみです。

参考になったのは途中の休憩タイムです。水分補給と休憩とおっしゃっていましたが、講義でも90分のなかで、眼を休めクビや頭をリラックスさせることはとても必要だ、と感じました。

さっそく、次の授業から休憩タイム=ストレッチを取り入れさせていただこうと思います。

 

写真はバロックでは靴にヒールがつきました、というご説明

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オンラインでも音楽探検!

音楽探検(水曜2限・短大)は、当初シラバスから内容を大きく変え、
少人数でのzoom授業が3回目を終えられたとのことです。

担当の松本京子先生からの授業レポートです。

 

当初のシラバスは、カリキュラムの制約上、履修ができない授業や、学内施設、設備を使いつくし、視野を広げることを目的に、雅楽バロックダンス、そして昨年度、個人レッスンが主科目の専攻生の皆さんから驚きの声が多かった、楽曲制作ディレクションの演習、そして録音室でのプチレコーディングなどが盛り込まれていました。


しかし、今般の遠隔授業につき、見学予定の多くの授業も影響を受け、当初予定の内容は困難と判断、テーマと授業形態の変更を敢行しました。今年のテーマはずばり、


「コロナ”下”の音楽、人~雅楽からリモートアンサンブルまで」


1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災を経て、本学での過去7年の授業では、これらの天災の折の音楽、文化芸術に関わる動きを話すとき、
「あの頃は…」と当時のことを話してきました。

しかし、この現在進行中でもある数か月の出来事についてはそうはいきません。
初回の授業(zoom)で話した通り、新型コロナウイルスと向き合っている期間は、学生の皆さんと私で何の経験の差もないのです。


公演の「自粛」から始まった、コンサートやライブ、演劇など多くの文化芸術の「生」の時間が休止を余儀なくされ、文化芸術関係者の日常は、この数か月で激変し、今も日々刻々と状況変化のスピードは目まぐるしいほどです。

これまで3回ののzoom授業では、この状況での一つの大きな流れとなった
「動画配信」に着目しました。

小曽根真さんの53日連続ライブ配信をはじめ、著名アーティストによる配信
・遠隔で複数のアーティストが合奏する「リモートアンサンブル」
・アーティストとファンの双方向のやりとりを生かした動画配信

これらの動画配信について「視聴して楽しむ」「パフォーマンスに刺激を受ける」から一歩すすみ、それぞれの動画配信の「つくり」や「狙い」にフォーカス…!

そして、次回は「まさに今!」を見てきたこの3週間から一気に数百年タイムスリップ。
当初シラバスで予定していた専攻科「古典舞踊(バロックダンス)」(樋口裕子先生)のzoom授業へ、バーチャルでお伺いすることになりました。

各々の場所でストレッチし、ステップを踏みます
舞踏会が重要な社交場だった当時の貴族が「体力勝負」だったことは、昨年の見学で身に染みたのですが、さて今回はどうなるでしょうか。

次々回以降は、文化芸術への支援や、ライブや公演再開に向けた課題や取り組みを、また現在進行形の情報収集や分析、考察をまじえて進める予定です。

履修生はクラシック、ポピュラー、邦楽とバラエティ豊かな専攻に加えて社会人学生の方も。
苦難の状況下ではありますが、今だからこそ向かい合える豊かな学びの時間となることを目指しつつ、梅雨入りを迎えます。

 

*画像は、ある回のzoomの画面から(加工しています)
チャット機能も有効ですね

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本日より音楽学研究室の対面授業一部開始!

本当に長くお待たせしました。

本日、6月4日(木)より本研究室の一部授業が大学での対面式授業として始まります。

すでにオンラインは3週目を迎えていますが、やはり楽器を用いたり、細かなやりとりが必要な授業は他の科目に先駆けて平時の状態となります。

もちろん、種々の感染防止対策を守るという条件つきですが、まずはスタートを切ることができてほっとしています。

P103室には3月から新たなチェンバロが設置されていたのですが、ようやく今年、大学院新任の中野振一郎先生ほかの指導により活用されることになりました。

オンラインも徐々に軌道に乗りつつあります。

ただ、少人数であったり、文献講読がメインであったりするとさほどデメリットは感じませんが、大人数、映像音響を多用といった科目はやはり無理が生じているように感じます。

意外な発見もありました。

大人数のクラスの1限は例年なら遅刻者、居眠り続出、教室の後ろにかたまって座る光景がふつうでしたが、Zoomではそういった問題がおきないこと、また、ある授業のコメント欄は通常の教室での小レポート以上にきちんと書かれていること、Q&Aを使って言いにくい授業への希望なども送られてくることなどなどです。

前期の最後に学生アンケートを実施して、その結果をみて半年後に気づくような問題がその日の授業の直後に判明します。

昨日はある学生から英文講読の授業は楽しく新たな発見が多いが、進み方が早すぎてこのままだと辛いと率直で丁寧なコメントが送られてきました。

(ちなみに読んでいるのは52夜連続自宅コンサート配信で話題をよんだピアニスト、イゴール・レヴィットIgor levitについてのThe NewYorkerのAlex Rossの記事です。昨年末にイゴールは殺害予告の脅迫を受けていたのですね。彼の反レイシズムの社会活動は見えざる敵をつくり、その闘いのさなかでベルリンがロックダウンされたということを初めて知りました。配信を見たときは天才的ピアニストとしてのイゴールしか見えていなかったのですが…)

さっそく、次回の授業で改善したいと思っています。(井口)

 

自粛の象徴?

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#エア大音 5月4日号

松本京子先生からのメッセージ

 

日頃、コンサートの企画制作を主な仕事としている私は、 これまでに、今後のものも含めて 10 を越えるコンサートが中止や延期となりました。

思いがけずできた時間に、これまでのコンサートの映像を少しずつ Youtube に公開していま す。 名付けて「おうちでコンサート」。

一番古い映像は 2002 年。 ちょうど皆さんが生まれた頃ですね。

グループ名は「宮川彬良&アンサンブル・ベガ」。

1998 年、阪神淡路大震災で笑顔を失った人たちに再びほほえみをと宝塚ベガ・ホールを拠 点に結成されました。

9 人のアンサンブルで、ピアノ、ヴァイオリン 2 人、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ク ラリネット、ファゴット、ホルンという編成。 結成 22 年になります。

プレイリストはこちらから。

https://www.youtube.com/playlist?list=PLrCMEwInkshgGJCDllvSaLA06SSB8IpO5

グループの音楽監督で作曲・編曲・ピアノ・お話を担当する作曲家の宮川彬良さんが、こ の 9 人で演奏するために作った曲に『室内楽のためのソナタブラック・ジャック>』が あります。

宝塚ゆかりの漫画家・手塚治虫が無免許の天才外科医『ブラック・ジャック』を主人公に かいた漫画からインスピレーションを得た作品です。 3 楽章からなるこの曲の各楽章のタイトルは

第一楽章「血と、汗と、涙と・・・」

第二楽章「命」

第三楽章「生きて生きて息る」

この曲の吹奏楽版の楽譜出版に寄せた、宮川彬良さんの言葉を紹介します。

『生涯、作品のテーマとして「命」を見すえた手塚作品に後押しされる様に、 僕は「命」の音楽を書こうと思い立った。これは手塚マンガに対するオマージュではない。 マンガの背景音楽でもない。この曲は手塚治虫という天才を創作にかりたてた「命」その もの・・・ 「命の三楽章」だと思っている。音楽、フレーズ、そして音の一個一個に、 確かに「命」がやどっているということを、沢山の人に知っていただきたい。』 --- 「命」の宿る音楽のあり方や伝え方、表現方法、そのために必要なテクニックなどを これから様々な形で学ぶ皆さんと、授業でお会いできることを楽しみにしています。

すでに始まっています

新学期がゴールデンウィーク後の5月中旬になり、また今の緊急事態宣言がつづく場合、遠隔授業(オンライン授業)に切りかわることが昨日、大学ウェブサイトなどで明らかにされました。

また一律5万円の遠隔授業に対応する準備費用も学生全員に支給されます。

よい方に想像するならしばらくはオンライン、その後通常のかたちに戻る、ですが、悪い方に状況が進むなら前期がすべてオンラインの可能性もあります。

目下、教員はオンライン授業の準備に慌ただしいのですが、そのような中、すでに大学院音楽学研究室では早々にオンラインでのガイダンス、各授業担当の先生方から課題や今、やるべき勉強について具体的な指示が出されています(この間に長大なレポートを書き終えたというつわものもおられます)。

大学院授業では4月中に、必読の論文作成マニュアルを熟読しておくこと、オンラインで読むことができる関連論文の講読、修論に必要な専門用語を英語、日本語で整理すること、などなど4月1ヶ月を座して過ごすのではなく、この環境でできることを模索してきました。

大学院以外もA群とよばれる必修科目については動きが始まっています。

短大の音楽史授業はすでに2回にわたって課題が課せられています。少し重めの課題をこなすには、携帯電話では正直、つらいものがあると思います。

公平性という観点から大学は携帯電話で受講することをみとめてはいますが、ここは5万円という準備金をぜひ、これから始まるオンライン授業をよりよい環境で受講するために使ってください!5万円ではパソコンは買えないという場合、家族、周囲の人からパソコンを借りるなど、中古パソコンを入手する、借りる方法はあります。

私たち教員もオンラインでできることを精一杯工夫します。その授業を100%受け取るために今、学生のみなさんも準備をしておいてほしい、と思います。