大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

特別講義「バロック時代の音楽・ダンス・オペラ」リポート(2)

1116日のピエール・ドレ先生、樋口裕子先生のフランスのバロック舞踏についての講義とデモンストレーションはとてもすばらしいものでした。ドレ先生も受講生が楽しんで実践するのを実感されていたようでした。

 

フランスのいわゆる「バロック音楽」(フランス人は正式には「フランスの古典音楽」という言い方をされます)は、演奏でも音楽史でも、J. S. バッハやイタリア音楽に比べると扱う頻度もかなり少ないジャンルです。実際には、J-. B. リュリ(元はイタリア人)がルイ14世の治世下で始めたフレンチ・バロックはたいへん面白く、またイタリアとは対照的な美をもった美しい作品群です。リュリはルイ14世のために、つまり王が主催する舞踏会や王が観るトラジェディ・リリク(ギリシャ悲劇)やコメディ・バレのためにダンス音楽を書き続けました。そのようなジャンルやダンスは今でこそ少しずつ日本やこの関西でも鑑賞することができるようになりましたが、まだまだ浸透していないともいえます。

 

たしかにイタリアの声楽曲のような甘美な旋律ラインというよりは、より器楽的、そして和音の進行を基本に音楽が進み、また中庸を好むのがフランス音楽です。しかし実際には舞曲の入ったセットの組曲は、バロック期だけでなく、近代フランスのレパートリーにおいても身近で、魅力あるものが多くあります。そのような作品を演奏したり聴いたりする際に、それらの曲がなんらかの舞曲であること、またそれぞれの特徴あるリズムを感じることができれば、その曲のどこを聴けばよいのか、何を強調すればよいかがわかるようになり、より親しみ楽しむことができるはずです。

 

そういう意味で、ドレ先生、樋口先生のしなやかな身体の動きを目の当たりにし、また実際にステップ、さまざまな時代のお辞儀(révérenceレヴェランス)を体験し、自分の身体に刻むことはとても重要な体験だったと感じています。またドレ先生のフランス語から生み出されるリズムや抑揚に耳を傾けることもフランス音楽を学ぶ上ではとても貴重な体験でした。

 

ドレ先生、樋口先生、素晴らしいレクチャーをどうもありがとうございました!

(三島郁)

レクチャーするドレ氏