「音楽探検」受講生の皆さん(声楽、フルート、クラリネット、サックス、電子オルガン)とともに今回は「舞踊・音楽演習」の授業におじゃましました。
バロック時代、ヨーロッパの宮廷で貴族たちが踊っていたメヌエット、ブレ、ガヴォット等、今日では演奏されるだけになってしまった舞曲の数々を、実際にステップを踏むと同時に舞曲史・バレエ史の講義も交えて行われる授業です。
この日のテーマは「ガヴォット」。
学生たちは日頃のレッスンでは、バロック時代の舞曲にさまざまな形で触れることがあることでしょう。
たとえばフルートならバッハ「無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調」はアルマンド、クーラント、サラバンド、ブレー・アングレーズ (英国風ブレー)と4つの舞曲から構成されています。
ほかにも有名なところで、バッハの無伴奏ヴァイオリンやチェロのための組曲、フランス組曲、ゴセックのガヴォットなど。
樋口先生作成のプリントでは、時代が下ってプロコフィエフ「10の小品」やシェーンベルク「ピアノ組曲 OP.25」も舞曲の例としてあげられていました。
先生いわく、なるべくいろいろな楽器の作品をあげるようにされているとのことでした。
フランスのルイ14世時代、宮廷での宴や舞踏会の様子が描かれている映画「宮廷料理人ヴァテール」の映像をみながら、当時の階級による厳格ドレスコードやマナーについて、詳細なレクチャーが行われます。
帽子をかぶったままでよいのは、その場にいる中で、一番位の高い人だけだそうで、確かに映像でもルイ14世だけが最後まで帽子をかぶったままでした。
なお、J.S.バッハやハイドンなど「宮廷音楽家」として仕えた音楽家たちは、やはり宮廷でのマナーや舞踊を身に付けていたそうです。
そうでなければ、宮廷で長く任務を果たすことは難しいということなのですね。
入念なストレッチと、バロックダンスの基本の足ポジションを行い(クラシックバレエと微妙に違いました!)
前回の復習として男性と女性それぞれお辞儀の作法、男性の帽子の脱ぎ方を実践し、いよいよガヴォットのステップへ。
元々が寒い地方のダンスのため、暖をとるために跳躍が多く使われているというガヴォット、
これが超ハードでした!
2拍子系が多く、アウフタクトを感じては(跳躍)、1拍目で着地し、また…の繰り返し
(言葉で書くのは難しいのですが)。
授業見学として伺いましたが、樋口先生から「ご一緒に!」のお言葉を頂き、
見よう見真似で実際にステップを、奮闘しました!
終了後「きつかった!」との感想多々。確かにハードです。上半身をしっかり引き上げ足を細かく動かすと、かなりの運動量です。
当時は衣装も重たかったはずで、宮廷貴族も体力が必要だったようです!
余談ですが、高校生の頃、バッハの「フランス組曲」第5番のガヴォットをピアノで弾いたとき、
このアウフタクトと1拍目の着地感がどうしても上手く身体になじまず大苦戦した思い出があります。
レッスンでちょっとステップらしきことを踏まされた(いえ、ご指導いただいた)がうまくできなかった
ことも思い出しました。
身体表現を伴うオペラやミュージカルだけでなく、
歌ったり、楽器を演奏したりするにも、舞曲のステップを理解し、個々の作品のリズムやテンポの感覚を
身体で感じることが欠かせないと感じた授業見学となりました。
音楽学における「音楽史」で時代背景や社会的位置づけを、こうした舞踊の演習授業で実際にステップを踏むことは、作曲や演奏、また音楽マネジメント/プロデュースなどさまざまな専攻で今後に生きるだろうと思えます。
なお、学部では専攻に関わらず、専門教育(共通)で「西洋古典舞踊」の選択が可能です。
そして最後にご案内を。
樋口裕子先生にもご協力いただき、音楽学研究室の主催として行うのが、すでにこのブログでも投稿されている
6月24日の「魅惑のバロック チェンバロからバレエまで」演奏会です。
ぜひ、ナマのバロックダンスを、チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバとの共演でご覧ください。
また、6月27日には、豊中市立文化芸術センターで樋口先生ご出演の「王のパヴァーヌ、王のシャコンヌ」というゴージャスな公演が開催されます!!