大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

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10月1日 小松正史さんゲスト講師として来校

 火曜日の3限、「民族音楽学」と4限「フィールドワーク演習」にゲスト講師として、小松正史さん(サウンド・スケープ研究と実践、作曲、演奏家 http://www.nekomatsu.net/) が来校されました。



 3限では、B館の教室のなか、そこにいた全員が授業が進むにつれ、教室内外の「音」に耳が鋭敏に反応する聴覚の変化を体験しつつの講義となりました。

 受講生自らが実践する「仕掛け」も用意されていて、学生たちは90分間、途切れることのない集中力と発想の転換を要求されました。

 しかし、小松さんの考え方や実践が、狭い、ひとりよがりな価値観に支配されているのではないことは、小松さんが教室の古い冷房機の奇妙なノイズを楽しまれたり、サウンド・スケープ研究の現状を客観的に、ある一定の距離感をもって捉えておられることからも伝わりました。

 サウンド・スケーピングと名付ける様々な実践行為、なかでもご自身がピアノで自作曲を演奏されている、そのユニークな演奏姿勢や、演奏を支える、音とそれをキャッチする耳の存在についての提言は、含蓄に富むものでした。(どのタイミングで、最初の一音を発するのか、演奏空間(ホールとは限らない、多様な場)のなかで、その間合いを捉えることから、演奏者のパフォーマンスは始まるのですね!逆に、その間合いを捉えられない演奏者は、演奏の資格がないのかもしれません‥)

 学生たちの真剣な眼差しと、小さなレポート用紙にぎっしりと書きこまれた感想が、この日の小松さんに化学反応を起こした学生たちのリアクションでした。




 4限は、3名の少人数クラスによる「フィールドワーク演習」。前期におこなった学生食堂、ぱうぜの音環境調査を下敷きにして、それをより充実した内容にするにはどのような方法があるのかを探ってみる、という内容でした。科学的計測のための音量計測器を学生が操作したり、自分たちがキャッチした音を言語化するなど、音環境調査の基礎的な方法を身につける授業でした。

 わたしたちを取り巻く音環境の問題点を、いかにして他者に伝えればよいのか、プレゼンテーションのノウハウや、授業の締めくくりでは、人文系の研究論文に必要となる「ストーリー」の作り方にまで、話は発展していきました。

 学生3名は、とてもスムーズに小松式調査方法に馴染んでいったようでした。

 

 小松さんはライブ活動も多いのですが、再来週、次の番組に登場されます。関心がある方はぜひ、ご覧ください。


京都 〜音が彩る風景〜

と き:2013年10月13日(日)18:30-19:00
番組名:テレビ朝日系「奇跡の地球物語」
内 容:#190「京都 〜音が彩る風景〜」

http://www.tv-asahi.co.jp/miracle-earth/