大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

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韓国とベトナム、オンライン講義

4月28日と5月4日、二つの大学でオンライン講義をしました。韓国は芸苑芸術大学ベトナムベトナム国立音楽院です。
元々の依頼は「亡命者たちの上海楽壇」という著書を元にしたテーマだったのが、偶然、コーディネーターの先生が私の地歌箏曲のブログに気づかれ、急遽、テーマが大きく変わり「楽器によるゆるやかなアジア共同体 -- 日本の箏を中心に」というテーマに。
2005年に東アジア、日中韓の三ヶ国から音楽学者と演奏家を招き、大学で演奏会とシンポジウムを開いた経験が今回とても役に立ちました。DVD『東アジアの琴と箏』(教育芸術社)は絶版になっているのですが、教材として充実のコンテンツです。
外観は似ているけれど、音も演奏法も全く異なる箏の仲間たち。古箏からカヤグム、アジェン、コムンゴ、日本の箏etc。
いずれも古典と現代曲、異種楽器などとのコラボレーションなど多様なサバイバルの方法が試みられています。
系統は違いますが、絶滅寸前だったアイヌトンコリもOKIさんのように大胆にダブのリズムとバンド形式で人気を集めている例もあります。
講義では古典や現代曲、ポピュラー化など映像も交えながら、最後は日本の口唱歌の紹介と実演も少し交えました。着物と実演はzoomという非対面講義の中で極力、日本を感じてほしいという思いから敢行。韓国は大いに反応してくれましたが、ベトナムはさほどでもなかったような。
韓国とベトナム、学生の印象はかなり違っていました。
まず、韓国は定時にズーム入室、大学教授の挨拶に始まり、実に礼儀正しい。ベトナムは定時には集まらず、満遍なく入室が続きます。そしていきなりのヴァイオリン音の侵入!自由というかさすが音楽院ですね。
ただ、どちらにも質問タイムが設けられていたのですが、どちらの受講生も真剣に聴講し、真摯な質問を投げかけてくれました。
ベトナム音楽学専攻生は、私自身の研究内容やフィールドワークについても質問、日本で尋ねられたことがないような突っ込んだ質問にタジタジとなりました。
終わってみると、本来なら飛行機で渡航し、前日から歓迎宴など一連の交流があり、講義のあとも学生と交流できるはずが、zoomは終了のクリックでパタリと画面が閉じられます。
その後に、ながーい余韻と疲労があり、オンライン講義のよさと限界を考えずにはいられませんでした。(井口淳子)

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ベトナム語パワポ
 演奏よりも座ることや爪をつけること、歌うことに驚かれる!

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2005 <Kotology> by Kawashima Motoharu


                

2021/4/30 | 投稿者: juiguchi