大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

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Cool Japan を体感した1日

「箏 伝統と革新」 深海さとみ(箏・三絃)特別講義がおこなわれました。
あいにくの土砂降りの雨のなか多くの一般の参加者も来場してくださいました。


開始は箏の独奏  「秋風幻想 ― 光崎検校『秋風の曲』によせて」 (深海さとみ作曲)

 右手の激しさと左手の柔らかさが変幻自在に交差する作品に、場内は水を打ったように静まりかえり、一気に箏の世界にひきこまれました。

つづいて、深海先生に井口教員が質問するトークコーナー。爪へのこだわり、古典への敬意、そして宮城道雄とその直系の弟子であることの意識など、率直なおはなしのなかに深海先生のお人柄がうかがえました。「古典には無駄な音が一音もない」ときっぱり断言されました。

 次に緋毛氈の上に箏(菊武厚詞先生)、三味線(深海先生)、尺八(田嶋直士先生)と3名の先生方が「八重衣」を全曲通しで演奏。砧やコオロギの音をもしたとされる手ごと部分ではぴったりと息のあった合奏が聴衆を魅了しました。


休憩をはさんで学生が主役の第2部です。
邦楽専攻生への公開レッスンは「春の海」。この誰もがしっている楽曲も宮城の演奏法には細かな決まりがあること、また姿勢や腹筋など基礎的な事柄がいかに大切かが説明されました。

ここでサプライズとして田嶋先生が加わり「春の海」の演奏が急遽実現しました。

最後はラウンドテーブル。総勢、6名の学生が壇上にあがり、用意した質問を先生になげかけました。飛び入りでフロアにおられた本学の先生からもユニークな質問が…。

最後まで熱心にききいってくださった聴衆のみなさま、ありがとうございました。

「こんなに日本にはかっこいい音楽があるんですね」といった学生。若い感性にこそ古典はぐっと心にはまりこんだようです。何年後かに、あのときの「八重衣」が邦楽への入り口になりました、といってもらえればうれしいかぎりです。


(井口)