今年も二つのレクチャーを用意いたしました。
前半は西村先生のモーツアルト<ヴァイオリンソナタ K301>を例として、当時の演奏慣習に重点をおいた講義でした。贅沢な仕掛けとして、チェンバロとバロックヴァイオリンによる当該作品の演奏が披露されました。院生がこれらの楽器を専門としていることから実現したレクチャーとパフォーマンスの組み合わせ、高校生たちに「音楽学を学ぶことがなぜ必要なのか」をより説得力をもってお伝えできたのではないかと思います。
後半は井口による「うたが生まれるとき」と題した民族音楽学の講義。こちらは祈りのうたに始まり、ヨーロッパの民謡やポピュラー音楽化された民謡など幅広い世界の「うた」にそって、うたの根源にあるもの、西洋芸術音楽と異なる発声や旋律の素朴な美しさに近づいてもらうことをねらいとしました。院生のフラメンコギター、そして講義後は助手の織田さんによるアルトリコーダーと院生のチェンバロ(テレマンのリコーダーと通奏低音の為のソナタ F-dur)が披露されました。
どちらの講義も熱心にきいてくださった高校生のみなさん、またどこかで再会できることを楽しみにしています!
井口淳子