大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

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修士論文発表会、ご来場ありがとうございました!

3月5日、とうとうこの日がやってきました。

まず、午後14時半に院試で使用したピアノが片付けられ、それ以前にP103で調律されていたクラヴサンがホールに運ばれます。

これが非常に重いため、急遽、その場にいる全員が手伝うことに。

ホールは気温や湿度が教室と異なるため、再びの調律。

その後、プレコンサートの出演者による立ち位置確認、リハーサルと続きます。

中野振一郎先生はリハは不要とのことで、若いトリオに最後のアドバイスを出しておられました。

あっという間に5時になり、今回、挨拶の時間は取れないので、ご挨拶は文書で配布、すぐにプレコンサートが始まりました。

30分の熱演の後、中野先生が軽やかに登場、クープランを弾かれるのかと思いきや、可愛いガルッピの小品をまるでおしゃべりするように演奏されました。トークの名手とお聞きしていましたが、今夜はそれも封印、2年間の指導について、また音大の環境の良さを褒めていただきました。

そしていよいよ発表です。

まず、坂井さんの発表はプレゼンテーションとしてはすばらしく、口頭発表かくあるべし、という語り方でした。口頭発表でボソボソと誰に向かって話しているのかわからない方がおられますが、坂井さんの発表は一人一人に語りかけるスタイルです。

質疑ではタイトルの「構造」という語をはじめとして、口頭試問でも指摘された問題が鋭く問いかけられました。坂井さんにとって合唱は自らが参与し、愛してやまない対象であるだけに、論文の中ではその部分がどうしても顔を出します。俯瞰的に、客観的にと本人も自覚されてはいますが、昨日は若い研究者に弱点を見事に追求されてしまいました。

金山さんはF.クープランの発想標語について、2年間、この問題に終始取り組んできただけあって、クラヴサン曲集全曲を通して見えてきた問題を明確に提示されました。クープラン自身が発想標語について言葉を残しているわけですが、実際の発想標語はえてしてテンポ表示と捉えられてしまいます。しかし、そう捉えると矛盾が出る作品があること、またクープランの後にも先にもこれだけ細やかにそしてユニークな発想標語を用いた作曲家がいないことから、クープランの発想標語は作曲家自身が述べるように、テンポの指示とは言えない、というのが論文の主張でした。質問も多く出ましたが、答え方がとてもよかったと思います。

終演後は、場所をH212に移し、残られたお客様との懇談の場にしました。

紅茶とチョコで、普段お話しできない学生のお連れ合いや、院生のご家族など、和気藹々とテーブルを囲みました。

そうそう、卒業生も忙しい中、駆けつけてくれました。古楽のMさんや、学校で吹奏楽顧問をしているKさん、拙著に元気がでるサインください、と学生時代そのままのKさんなど。

最後になりますが、ステージマネージャーの京谷政樹先生、質疑担当の三島郁先生、受付担当の西村理先生、学務や施設、ホールのスタッフの皆さん、本当にお世話になりました。

コロナまん延防止の中で、ご来場くださった皆様に(遠い方は関東地方から!)心より感謝申し上げます!

                                      (井口)

当日プログラム

プレ・コンサート

Ⅰ アンサンブル

・J. S. バッハ フルートとオブリガートチェンバロのためのソナタ イ長調 BWV1032 全楽章

・J. S. バッハ ヴァイオリンとオブリガートチェンバロのためのソナタ ホ長調 BWV1016 1、2、4楽章

・C. P. E. バッハ トリオソナタ イ長調 Wq146 1楽章

 

出演

ヴァイオリン 石田優志(本学卒業生 現ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団奏者)

フルート 服部ひかる(本学専攻科)

チェンバロ 金山将太(本学大学院2年)

クラヴサン・ソロ 

出演 中野振一郎 (本学大学院講師)

休憩 10分

発表会

修士論文 坂井威文

  コロナ禍の活動で顕在化した日本の合唱の構造 — テレコーラス・プロジェクトを事例として

修士論文 金山将太

  F. クープランクラヴサン作品における発想標語 — その用例の実態についての分析的研究

 

写真を撮れず、リハーサル写真のみです。

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中野先生とトリオメンバー

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坂井さんの発表