大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

【速報】大学院前期入試、音楽学研究室には2名が合格

過日実施された大学院前期入試の結果が発表され、音楽学研究室には2名が合格されました!

お二人とも内部受験生で、昨年から始まった「音楽学講義」(英語専門文献講読)の受講生でした。お二人の研究テーマは大きく異なりますが、修士論文にむけて、マンツーマンの授業も複数ありますから、少人数研究室のよさを生かし、充実した2年間を過ごしてほしいと思います。

先の話になりますが、現在2年に在学している院生の修士論文発表会は、2020年3月5日15時よりF215教室で開催される予定です。詳しくは後日ご案内させていただきます。

音楽学資料室はH館の2階、H212教室です。この資料室が保有する書籍やCDなどは学生に貸し出ししています。毎週水、木曜日お昼休みはほぼ開室していますので、お気軽にのぞいてみてください。

授業を通じて音楽学に関心をもつ(好奇心がある)学生のみなさんの来室をお待ちしています。

大学院についての質問などは次のメールアドレスにお送りください!

ongakugaku@daion.ac.jp

 

バリ島の影絵芝居が庄内にやってくる!(小林江美先生ひきいるギータ・クンチャナ)

ユネスコ無形文化遺産にも登録されているインドネシア・バリ島の影絵芝居公演のお知
らせです。
日本でただ一人のダラン(人形遣い&語り・歌)の梅田英春さんによる素晴らしいパフ
ォーマンスと12人の奏者による鮮烈なバリガムランの演奏。
現地では言葉がわからず十分には楽しむのが難しい芸能ですが、本来の伝統芸能で用い
られるカウィ語バリ語に日本語がたくさん使われ、小さな子供から大人まで惹き込まれ
る内容です。
今回の作品は、日本で古くから伝わる安珍清姫の物語を、バリ島で伝統的な物語のマ
ハバラタに盛り込んだ梅田英春さんのオリジナル作品です。
日本人として他所の国で生まれた芸能にどう取り組むか、考えさせられる作品でもあり
ます。
梅田さんの、バリ人も認める人形遣いの技、語りや歌の妙技は勿論のこと、ガムラン
奏の中でもリズムに敏捷さに抑揚に高いレベルが要求される影絵の伴奏合奏バテルも堪
能していただけます。
同じお話を2日に渡って上演いたします。
 
ギータ・クンチャナのブログでのご案内はこちらです。
 
創作マハバラタ《鬼女となった姫》
日時: 2019年10月13日(日)14時30分開場 15時開演
     2019年10月14日(月祝)12時30分開場 13時開演
会場: サンパティオホール 阪急宝塚線庄内駅西口徒歩1分サンパティオ3F
定員: 各日70名
主催;ギータ・クンチャナ www.gitakencana.com
予約:メールにて ticketgitakencana@yahoo.co.jp まで
     お名前、携帯電話番号、公演日、人数をご記載の上、お申し込みください。

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フランスでの史料調査

夏休みも終わりに近づきましたが、教員にとって夏休みとは、まとまって研究時間がとれる貴重な季節です。

今回、私は上海フランス租界(100年にわたり上海の一角をフランス人が植民地化していた)の一次史料をもとめて、研究仲間とともに10日間の史料調査をフランスで行ってきました。

まず、一箇所はパリから2時間のナントにあるナント史料館です。ここはフランスが植民地支配した世界各地の行政、文化史料が集められています。わかりやすくいえば、領事館や大使館ほかが本国と交わした書類や書簡、各種資料が分類され保管されている場所です。「上海」という大きなファイルには年ごとの小ファイルがあり、また分野毎のファイルもあります。音楽や劇場に関する史料がどこに入っているのか、初日は戸惑うばかりでしたが、優秀な司書のおかげで、数百枚の史料をカメラ撮影することができました。

三日間通ってわかったのは、どのような些細なメモも破棄せず残されているということです。書簡の場合は封筒や便せん、そのコピーまで保管されています。戦後ほぼ手つかずだったボックスを開くときのわくわく感はなにものにも替えがたいものです。

次に訪問したのはパリ郊外、クルノーヴにあるフランス外交史料館 Centre des Archives diplomatiques de La Courneuve です。ここはナント以上にセキュリティが厳重で、館内には鉛筆とカメラとメモ用紙以外は持ち込めません。ノートもダメで、カメラカバーも取り外されます。二重三重のチェックを経て、中に入ると、パソコンで目的の史料を入力(コマンド)します。画面に到着の表示が出ると、カウンターで受け取り、指定されたデスクで閲覧します。

撮影は無料なので、夢中になってとっていると、あっという間に1日が過ぎていきます。空腹を覚えて職員食堂に行くと、自由に選べるメインディッシュ、サラダ、パン、デザートが並んでいます。満腹になり、また作業再開です。

史料館は17時にはきっちり閉門しますので、10分前には荷物をとり、外に出ます。

実はここからが難関で、最寄り駅のクルノーヴ駅はB2という郊外電車駅です。近くにはテント村があったり、不法滞在者も少なからず。実際、切符を買うときもホームで待っている間もかなり緊張していました。

日本に帰国して、ああ、なんて平和で安全なんだ、と感じると同時に、若いときにさまざまな国、地域、民族を肌で知ってほしいとも思いました。日本は実に特殊な国です。肌の色も同じ、友人もほぼ同じ環境で育っています。フランスではメトロ一両のなかに10カ国以上の多国籍人が乗り、話すフランス語も各国の訛りが強くにじみ出ています。

今回、目的は史料を得ることでしたが、それと同時に、自分を取り巻く日本という特殊な同一社会のよい面とそうでない面について考えさせらずにはいられませんでした。

フランス人があそこまで徹底して笑顔で挨拶するのは、他者と共存することの難しさを知っているからだと思います。私はあなたを隣人としてみとめますよ、という挨拶なのです。その必要がない日本では能面のような顔で、無言で相対することも許容されますが、近い将来、それでは生き抜いていけなくなると感じます。

後期の授業では、フランスの話題も出てくるかもしれません。

数々の失敗ばなしもお楽しみに…!(井口淳子)

 

パリ外交史料館・職員食堂のランチ

鴨肉編  すごい分厚さ!

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魚編 付け合わせの量!値段は10ユーロ

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授業の風景 ザ・カレッジ・オペラハウス見学

7月24日、前期授業(短大・音楽探検)の最終日は、本学の誇るザ・カレッジ・オペラハウスの見学です。

1989年3月に竣工。最大756の客席を備えた本格的なオペラ劇場です。
この日は舞台の奈落から舞台真上のキャットウォークまで、文字通り
ほぼ隅から隅まで、普段は見ることができないオペラハウスの舞台裏を
見学することができました。

最前列部分の客席が格納されオーケストラピットが出現したり、
舞台装置をあげさげする「綱元」やオペラの各場面で陰影を表現するための照明機材を
微調整するキャットウォークなど、そこここに専門の技術スタッフの皆さんの存在を感じる場所へ案内していただきました。

(キャットウォークでは、足元にも頭上にも注意!)

また、奈落の舞台小物の部屋には、1985年の竣工依頼、これまでのオペラ上演で繰り返し使われてきたあらゆる小物がぎっしり。
ここから華やかなオペラが生まれるのかと、ワクワクする瞬間もありました。

時には、舞台上の出演者の倍以上の人数のスタッフにより上演がかなうオペラという贅沢な総合芸術。
ヨーロッパのオペラハウスのような贅沢な環境で、学生の間にぜひ生のオペラを数多く観てください。
舞台裏を見学することで、次にオペラを観るときには、違った観点で観られるに違いありません☆

次のオペラ公演は11月1日(金)と3日(日)、ベッリーニの歌劇「カプレーティとモンテッキ」です。
詳しくは、 https://www.daion.ac.jp/media/2019.11.01-03.pdf
(チラシPDF)
前期の序盤に見学した学内図書館で映像をみるのも予習におすすめです。

ご案内頂きましたオペラハウス舞台チーフマネージャーの今村さん、ありがとうございました!

~おしらせ~

担当の松本が10月にかかわるオペラ公演もあります。
10月グランドオープンの新ホール「フェニーチェ堺」にて。

2018年のザルツブルグ音楽祭で制作された子どものためのオペラ「魔笛」を日本版初、日本語上演!
こどもオペラ『まほうのふえ』~パミーナ姫のたんじょうび~
(指揮 原田 慶太楼、演出 菅尾 友)
http://office-vega.net/event/20191012sakai/
偶然にも、キャストの多くは本学出身の皆さんです。こちらもぜひどうぞ!

(担当 松本京子

 

二階席より

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オペラハウスらしいシャンデリア

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こんなところも!

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授業の風景 録音室実習

すっかり夏休みのupとなりましたが、7月3日(水)にK号館の録音室での録音実習を行いました(短大「音楽探検」)。

 

生演奏の音と、最新鋭の機材が備えられたスタジオで録音した音にはどんな違いがあるでしょうか?

 

この日、スタジオでのレコーディングを体験した皆さんの楽器はクラリネット、フルート、ピアノ、声楽。

リハーサルで1度演奏した後、コントロールルームに控える他の履修生の皆さんには

演奏についてのディレクション体験にもトライしてもらいました。

 

これは前週に「クリエイティブ・ヴォーカル演習」(岡崎雪先生)の授業で行われいてたものですが、授業の一環とはいえ、録音前に緊張している仲間へ、短い言葉で的確にアドバイスをするのは、意外に難しいものですね。

 

「細かい音、焦らないで大丈夫」

「リラックスして」

など励ましの言葉が飛んでいました☆

 

本格的な商業録音では、演奏に加えてプロデューサーやディレクターと呼ばれる人の

このディレクションと、録音エンジニアによるマイクのセッティングや編集作業、

ジャケットのヴィジュアルデザイン、プロモーション用音源や映像、宣伝などなど、

演奏以外の幾多の作用が噛み合って、はじめてその録音が多くの人の耳に届くというわけです。

 

さて、自分の演奏が録音されたものをプレイバックで聞いてみた感想は…

「実際よりいいかんじに聴こえる」

「響きが豊かになったみたい」

「普段聴くCDみたい」

と、全員が実際の演奏よりプラスの自己評価となりました^0^

これはリバーブ(残響)の効果をかけて頂いたからですが、

実は録音の大きなメリットの一つは、自分の演奏を客観的に聴けることです。

演奏している時は気が付かないことも、第三者としてクールダウンして聴いてみて

わかること、ほかに試してみたいことを発見して、また次の演奏に生かせるとよいですね。

 

私(松本)も録音の現場に演奏者側のスタッフとして立ち会うことがあります。

ホールを借りての室内楽録音や、スタジオで行われるテレビや舞台の音楽の録音など。

生のコンサートとはまた違い、録音エンジニアの皆さんの耳や「職人技」に触れるのも

刺激的な時間です!

 

K号館の録音室には最新鋭の機材が備えられています。

オーディションの提出音源などの録音にも、理想的な環境ですので、

在学生の皆さんはぜひ有効活用してください。

録音室はこんな場所です。

https://www.daion.ac.jp/campus/100anniversary/recordingfloor/

 

録音室のレコーディングエンジニア、内田さん、山本さんには

大変お世話になりました。

ありがとうございました!  

 

(担当 松本京子

録音室にて

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三島郁先生の講演「作曲実践法としての通奏低音 -- 18世紀ドイツ、イタリアの理論を中心に」8月9日(日本チェンバロ協会関西例会)

三島郁先生の講演のご案内です。

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どなたでも自由にご参加いただけます。

 

日本チェンバロ協会 2019 年度 第2回例会 ( 通算 : 第40回 )

鍵盤上の作曲実践法としての通奏低音 -18 世紀ドイツ、イタリアの理論を中心に -

 

2019年 8月 9日(金) 19:00-20:30 (18:40開場)

会場 : Salon de ぷりんしぱる

( 大阪市西区土佐堀 1-6-5 二口ビル 2F / アクセス : 大阪メトロ 四ツ橋線「肥後橋駅」 3 番出口より西へ徒歩 4 分)

詳細はこちらへ!

バロックから 19 世紀までの鍵盤楽器音楽の作曲・演奏論、記譜論について研究されてこられた三島郁氏とともに、 作曲実践法としての通奏低音について、再考する時間を持ちたいと思います。 

本例会はどなた様でもご参加いただけます。是非ふるってご参加ください。

 

講師 : 三島 郁 (みしま かおる) [日本チェンバロ協会会員]

東京学芸大学大学院修士課程修了後、ケルン大学に留学、大阪大学大学院文学研究科で音楽学専攻、博士課程修了。博士(文学)。 専門は西洋バロック期から 19 世紀までの鍵盤楽器音楽の作曲・演奏論、記譜論。チェンバロ、通奏低音を亀谷喜久子、岩渕恵美子、 C. チェラジの各氏に師事。国内外でバロック期の音楽やチェンバロに関するレクチャーやコンサートを企画・開催。 日本古楽アカデミー、メンバー。現在、京都市立芸術大学同志社女子大学大阪音楽大学大阪教育大学甲南女子大学、 神戸山手女子高等学校、各非常勤講師。

 

詳しくは日本チェンバロ協会ウェブサイトをご覧ください!

japanharpsichordsociety.jimdo.com

 

 

 

授業の風景・前期も終盤です

前期の授業も残り少なくなってきました。
今週は試験後のふりかえり=ディスカッションの授業が多く、「ほう、へえ、ええっ!?すばらしい!!」と思うことが多々ありました。
そもそも、大教室の場合、ディスカッションと予告して、「この日は自由参加です(出欠も関係ない)」と宣言すると、ひょっとしてゼロ人だったりして、とこわごわ教室に行くのですが、少ないながらちゃんと来てくれていました。
テーマは始まりこそ授業のふりかえりですが、しだいに、身近な就活や専門実技、女性の生き方etc多岐にわたり、各人が今、真剣に考え、悩んでいることを率直に話してくれました。
私は意見をいうというよりも、これは一つの例に過ぎないのだけれど、と自分自身の体験をお話することにつとめました。

例えば、日本では周囲に同調しないと生きづらいという話題では、自らの子育て体験を告白。双子の生後5ヶ月で、日本に見切りをつけ、北京に逃亡、そこで二人の乳母さんを雇い(といっても当時は月給5千円)、研究生活と育児を両立させたが、帰国後が悲惨で、ママ友の輪に入れず、落ち込みの連続だった話など。

授業中は冷静だったつもりが、帰宅しても、学生の発言に頭が沸騰して不眠になるくらい、それぞれの真摯な声が心に突き刺さりました。
少人数の「民族音楽学」では、各人がとっておきの音楽を皆にきいてもらい解説する、というもの。こちらも作曲した自作や、聴く機会がほとんどない邦人作曲家のうつくしい作品、著名な作曲家の交響曲ですら楽譜がどこにもない!という問題提起、などなど聞き応え十分すぎる90分でした。この授業は学生から「居眠りや携帯を見るスキを与えてくれない(ずっと考えることを要求される)希有な授業だ」とお褒め?のことばをいただきました。
大人数ながら少数のファンを獲得した「諸民族の音楽」、最終回はガムランを演奏しようと、受講経験がある学生に助っ人を頼んだところ、すばらしい機転と指導者ぶりを発揮してくれました。「大学に入ってよかったこと、日本の伝統音楽と民族音楽に出会えたこと!」という学生のことばは、音大のなかで滅多にきくことができない、でもうれしい少数意見でした!「解散!」といってからも残ってガムランを演奏していた学生の写真をあげておきます。(井口淳子)

「諸民族の音楽」の一コマ(学生に教わるの巻、左端は学生です)

 

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