大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

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本と音源をリンクさせました「送別の餃子(ジャオズ) -- 中国・都市と農村肖像画」

同じ本の話題が続き、恐縮です!

井口淳子著「送別の餃子:中国都市と農村肖像画」(灯光舎)が刊行されて1ヶ月がすぎました。
ふと思いつき、noteの便利な機能を使い、本の中に登場する音をアップロードしてみました。
黄土高原の朝と夜のそれぞれのサウンドスケープ、民謡、スオナー音楽など、音質のよいDAT録音から精選した音源です。
本を読みながら、どんな音だったのだろう、と思われたらnoteを開いてみてください。
https://note.com/junkoiguchi_
例えば、<東方紅>。
この曲は中国では時報に使われたり、国歌の次によく耳にする曲です。
元は民謡ですが、地元の村でこの曲を聴いた時は、原曲と国民歌とのあまりのギャップにびっくり仰天しました。 テンポも曲調も全く違っています。
貴重な<東方紅>もnoteに収録しています。
悩ましいのが第5章の中に登場する「雨乞いの歌」です。
録音は手元にありますが、龍神信仰の儀礼の、それも女性は参加が許されないほどの秘儀の歌だけに、ネット上で簡単に視聴できるようになるのは問題がある、と考え、保留にしています。
授業では雨乞い儀礼の丁寧なレクチャーの後に音源も学生にきいてもらっていました。
その際も、学生から「雨乞いの歌はやはり非公開にした方がよいと思う」という感想をもらったことがあります。
自分自身はワンクリックで辺境の儀礼音楽などを聴いているだけに、ネットの恩恵だけ受けて、出し惜しみしているようにも思えますが、やはり「出し方」には慎重にならざるを得ないですね。(井口)

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黄土高原の語り物芸人 1995年 陝西省米脂県