大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

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興行主、A.ストロークについてのウェブサイト公開

4年間の科研基盤Cの研究を終えるにあたり、その成果をウェブサイトという形で公開しました。

“Awsay Strok and His Asian Tour(1910−1950s) The Activities of an Impresario from 1910s to 1950s”

ongakugaku2.wixsite.com/strok

日英二か国語で、忘れられた興行主の40年間にわたるマネジメント活動を一挙に紹介しようとするものです。

10年ほど前に、上海発行の英字新聞と仏語新聞を毎日眺めていた時、「あれ?どうして大きな公演広告には必ずA.Strokという名前が記されているのだろう?」と疑問を抱いたのが、ことの始まりでした。

その後、論文を機関誌『音楽学』に投稿し、それが縁になり音楽之友社より単著を2019年に出したところ、関心を持ってくださる音楽学者のご紹介で上海音楽学院出版社から2020年1月に中国語版が刊行されました。

一つの疑問から本になるまでおよそ10年がかかっていますが、それでもスピーディな方で、20年、30年かかってもなかなか形にできにくい研究もあるかと思います。コツコツと地道な作業を続ける粘りと、たとえ陽の目を見なくても腐らず、自分自身がエンジョイすることが大切ですね(自戒を込めて)。

このウェブサイトはかつての音楽学助手の織田優子さんのご協力を得て、形になりました。そして長年、大阪音大旧音楽博物館が保存、整理されてきた洋楽資料(主に公演プログラム)を使用させていただきました。

ストロークという稀代のマネージャーを縦糸に、そこに関わったアーティストやオペラ団、ダンサーたちを横糸に、壮大な織物が頭の中に夢のように広がります。夢を実現するのは次の世代でしょうか。(井口)

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ストロークのひ孫、Adam Carrow氏から寄贈された1937年の肖像写真