大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

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2012年度修士論文発表会

3月7日に2012年度修士論文発表会が開催されました。

今年度は次の2名でした。

修士論文

    山中  直 「伊福部昭《交響的音画 釧路湿原》―― 映像と音楽の諸相」

    山村 磨喜子「日本のフラメンコ受容 ―― 明治期から昭和初期における先駆者たちの活動」

 まず、山中さんの発表は、伊福部の、映像と音楽が結びついた作品《交響的音画 釧路湿原》をとりあげ、その楽曲分析にもとづく、作品解釈の発表でした。発表のなかでは実際にNHKが制作した映像作品も紹介しつつ、この作品が他の映画音楽とは一線を画する手法を用いていること、伊福部の膨大な作品群のなかでも唯一無二の位置を占める存在であることを明快に解き明かしたものでした。

 次に山村さんは、1920年代から30年代にかけて日本のフラメンコ受容の先駆者として活躍した3名をとりあげ、邦字、英字新聞など一次資料を用いつつ、曖昧に記述されてきたこの時期の受容の様相を実証的に明らかにしようとする発表でした。

 フロアーからはときに厳しい質問もなげかけられ、発表者にとってはよい刺激を受ける機会となりました。





 通常ならここで終了となるのですが、今年度は退任されるお二人の先生方による演奏が披露されました。

 坂本 利文(ヴィオラ・ダ・ガンバ)先生とプーリー・アナビアン(サントゥール)先生のお話と演奏(ソロ、デュオ)はどちらも「ミニ最終講義」のように長年の演奏経験に裏づけされた含蓄の深いものでした。



 お二人に指導を受けた10年、20年、それ以上?前の楽理専攻時代の卒業生たちも駆けつけてくださり、会の終了後もなかなか散会できない熱気のこもった状態が続きました。そのなかの何名かは飛び入りで、夜の「追い出しコンパ」にも出席してくださいました。

 卒業や修了、そして退職と、別れはとても寂しいものですが、さけては通れない人生の通過点です。そういった意味では、その通過点がとても温かで、熱気にあふれたこの会をもって記憶に残ることを幸いと感じました。

 坂本先生、アナビアン先生、長い間、熱意に満ちたご指導をいただき、本当にありがとうございました!!(井口)