大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

祝・10周年 世界のしょうない音楽ワークショップ始まります!

なんと、いつのまにか10年目に突入した「世界のしょうない音楽ワークショップ」。

音楽学からはシタール、バリ・ガムランヴィオラ・ダ・ガンバの先生方が参加されます。

作曲家の野村誠さんが計6回のワークショップを開催され、各回で参加者から出されたアイディアを元に新曲を創作されます。

本学のF434教室で世界で類のない西洋楽器、民族楽器、邦楽器のオーケストラが出現します。

プロとしては日本センチュリー交響楽団のメンバーたち、音大の教員やOB、そして豊中市が公募した一般参加者がともに音楽を楽しみ尽くすワークショップです。

楽譜が読めなくても、楽器を触ったことがなくても全く問題ありません。

豊中市以外の居住者も応募できますので、ぜひ、ご参加くださいませ。

詳しくは、下記のウェブサイトに。

 

ちなみに、今年の音大からの参加教員&OBは次の方々です。

音大側 メンバー 

 

ワークショップ・コーディネーター

井口淳子(IGUCHI Junko)

専門は音楽学民族音楽学。研究テーマは中国の伝統芸能、アジアの近代洋楽史。

主な著書に『送別の餃子(ジャオズ)――中国・都市と農村肖像画』、『亡命者たちの上海楽壇――租界の音楽とバレエ』など、中国語の著書多数。論文に「コミュニティ・アートとしての音楽 -- 「世界のしょうない音楽ワークショップ」(2014〜2019)の実践より」

映像による音楽史教材「音楽史のエッセンス」プロジェクト代表(科研費

大阪音楽大学音楽学部教授。文学博士。

 

 

田中峰彦(TANAKA Minehiko シタール

インド古典音楽に魅せられシタールをはじめる。1988年渡印。コルカタにて巨匠故ニキル・べナルジーの直弟子で演奏家のアミット・ロイ氏に師事。各地で活動を行い、豊かな詩情とワイルドさをあわせもった演奏には定評がある。また作曲家としての評価も高く、独自の奏法により作品を発表。様々なアーティストとの共演、海外公演、CD制作、TV・ラジオ出演など精力的な活動を展開している。2016年より大阪音楽大学非常勤講師。

 

 

小林江美 (KOBAYASHI Emi バリガムラン演奏)

大阪音楽大学音楽学部ピアノ専攻卒業後、1991年よりインドネシア政府給費留学生として2年間インドネシア芸術大学デンパサール校にてバリガムランとバリ舞踊を学ぶ。

帰国後バリガムラン ギータ・クンチャナを結成し、関西を中心に活動を広げる。

伝統音楽の研鑽を積みながら創作にも取り組み、また日本舞踊、真言声明、ギター、和太鼓などとのコラボレーションに挑戦。

主宰するスタジオや大阪音楽大学ガムランや舞踊の指導にあたる。

 

 

上田牧子

大阪音楽大学作曲学科楽理(音楽学)専攻卒。

在学中よりヴィオラ・ダ・ガンバ古楽アンサンブルを坂本利文氏に師事。

関西を中心にソリスト、及びアンサンブル奏者として演奏、録音活動を行っている。

近年、ヨーロッパの中世、ルネサンスバロック音楽の演奏の他、北欧の民族楽器との

共演を果たすなど活動を広げている。

現在、大阪音楽大学非常勤講師。

 

 

饗庭 凱山 (AEBA GAIZAN 尺八)
雲井花山に師事。

大阪音楽大学邦楽専攻に進学、星田一山に学ぶ。同大学卒業。国内外での演奏活動を展開。

豊中市連携事業邦楽ワークショップの代表や中国蘇州の日本人学校や台湾でのワークショップなど、尺八の指導・普及にも力を注ぐ。
大阪大学邦楽部銀簫会指導
大阪音楽大学演奏員

都山流尺八師範検定試験首席登第
(一社)日本尺八演奏家ネットワークJSPN正会員
日本音楽集団(Pro Musica Nipponia)団員

 

平山泉心(HIRAYAMA Senshin 尺八) 

大学の邦楽部で尺八を始める。村治流尺八を木下登一師、椿本登葉師に、上田流尺八道を谷泉山師、谷保範師に師事。2013年、2015年、2016年(第84〜86回)3大会連続で上田流尺八道全国技芸審査会一位。2010年に二胡とピアノとのユニット「iroha」を結成し、現在までに3枚のCDをリリース。ジャンルにとらわれず、さまざまな楽器とコラボレートしながら、幅広い演奏活動を行っている。

 

www.city.toyonaka.osaka.jp

音楽基礎セミナー・古楽器と民族楽器の回、終了しました!

音楽基礎セミナーとは一年生全員が必修の授業で、前半はミレニアムホールを使って、演奏とレクチャーで構成されます。

初回が音楽学の担当回となり、前日よりクラヴサンの搬入などかなりの準備が必要になりました。

そして当日、ステージマネージャーの西村理先生の指揮の元、リハーサルや入念な進行確認の後、本番!

クラヴサンはフランスのナーデルの名器で、妙なる響きにうっとり。井幡万友美先生の解説と伴奏、金山将太さんのソロ演奏、そしてヴィオラ・ダ・ガンバの上田牧子先生の演奏と、分刻みながら聞きどころ十分の名曲が続きます。

うってかわって後半は民族楽器、まずは北インドシタールを田中峰彦先生の演奏と解説でおよそ20分。これが実際の時間以上に感じられるのはさすが、インド音楽の底力ですね!

最後は私、井口が民族楽器って音が出るものならなんでも楽器になりえる、というお話と、会場の全員に手と足とハミングで民族楽器体験をしていただきました。

最後の茉莉花のハミングはとても美しかった、ブラボー!

 

ステージマネージャーの西村先生、サポートの研究生たち、学務やホールスタッフの皆さん、ありがとうございました!!

 

写真は楽屋にて。実際にはステージにナーデルのクラヴサン

 

ステージでの田中先生

 

楽屋でさーて、何を使おうと思案中

体験の時間は頭と身体を活性化させます!

体験しなければわからない、というコンセプトのもとに、映像をもとに民俗音楽や伝統芸能などを体験する音楽史のエッセンスシリーズを制作公開中です。

現在公開中の映像はこちらから↓
 音楽の授業が楽しくなる、そして本質的理解に一歩近づく教材を目指しています。
現在公開中の6本に加えて、公開予定が5本、古楽やユニークな民族音楽体験シリーズも乞うご期待!!
昨日の後期初回授業も最後の10分ほどを体験に使ったところ、感想レポートに体験について書いた学生が頗る多し。
じっと座って講義を聞いた後、声を出したり、動いたり、自分自身で音を出す、この10分が頭も身体も活性化させるようです!
科研費基盤C 代表者は井口淳子
、 研究分担者は三島郁さん、能登原由実さん、久保田テツさん)
教員養成のための日本および諸民族の音楽の音楽史教育方法論の構築
科研番号 21K02590
 

撮影風景 ノイズを消すために真夏に冷房を切っての撮影でした

体験を通じて音楽史を学ぶシリーズ・狂言編(奥津健太郎さん)公開

昨年の夏に東京からお越しいただいた狂言師の奥津健太郎さんのワークショップ型映像教材が2本公開されました。

 

奥津さんはかつて放送関係の会社にお勤めであったということで、きっちりと台本をご自身で策定され、当日はほぼよどみなく撮影が行われました。

 

公開に先立ち、前期の授業で使用したところ、立ち方、所作などを体験した学生から「今まで鑑賞していただけではわからなかった難しさや奥深さがよく理解できた」と大好評でした。

 

たしかに、実際に立つ、歩く、手を広げる、笑うといった動作を映像に導かれつつやってみると、自分自身の身体の底に狂言的な記憶があることに気づきます。

 

発声編では老若男女の声を出してみるのですが、とにかくものすごい大音声でミレニアムホールがわれんばかりでした。

 

生徒役を務めてくださった研究生お二人、坂井さんとか金山さんも汗をかきつつ奮闘しておられます。

 

坂井さんは合唱のウォーミングアップにこの狂言の発声を時折試しておられるそうです。

 

日本の伝統芸能の底力、映像をぜひともご覧くださいませ!

 

 

youtu.be

youtu.be

音楽史映像教材の公開が始まりました!

2年前からスタートした音楽史の映像教材撮影プロジェクト、すでに何本か撮りためていますが、織田優子さん(楽理専攻卒業生、リコーダー演奏家)をお迎えしてのリコーダーと北欧の笛の2種(それぞれ30分)が公開になりました。

撮影と編集は久保田テツ教員、伴奏や出演者には京谷政樹教員や金山将太研究生にも協力をいただきました。

大学の音楽史以外にも小中学校、高校で音楽の授業に使用していただける内容になっています。

是非、ご覧ください!

冒頭と終わりのサウンドロゴもステキな仕上がりになっています。

 

リコーダー編

www.youtube.com

 

北欧の笛編

 

www.youtube.com

 

 

 

高校の先生方がケチャ・ガムラン体験(小林江美先生リポート)

小林江美先生より大阪府の高等学校音楽教員対象の研究会のリポートが届きました。

猛暑の中、ケチャ、ガムランに夢中になられた先生方、きっとそれぞれの学校で楽しい小林先生直伝のケチャが体験されることでしょう!

 

小林先生リポート

「昨年度の夏に引き続き、大阪府高校音楽教員の研究会の講師を務めました。

前回はガムランメインで後半ケチャをして、リズムの掛け合いやアンセルを楽しんでいただきました。
普段の音楽の授業ではケチャについてはさらっと説明して、動画などの鑑賞に留まるとのことです。
扱いに困る感じ?でしょうか。
昨年度研究会参加後、今はうちのスタジオにガムランを習いに来てくださっている先生とお話をしている中で、先生方に生徒たちのケチャを運ぶナビゲーターの技量を身に付けてもらうことが必要だと気づきました。
声のアンサンブルのエンジンをかけ、アクセル踏んで勢いを付け、急ブレーキを踏んで全体を止まらせる役目の重要さ。
運転手の技量がないと、ケチャの抑揚や変化に富んだ声の世界を味わえません。

なので、ケチャを運転する運転技術を身に付けること、に力を注いだワークショップを試みました。

まずは私のナビでバリスタイルのケチャを。
声を出しながらの未知の動きに、皆さん笑いが絶えません。

 

そして、エンジン、アクセル、ブレーキなど運転の技術ポイントを解説。
皆さん積極的!
ちょっとした声の張り方、表情でもバリっぽくなります。

 

 

 

その後3つのグループに分かれて、役割を交代しながらそれぞれのグループのケチャを作ってもらいました。
3パターンのリズム、テンポキーパーも勿論それぞれ大切な役割です。
向き不向きはあるものの果敢に交代しながらいろいろな役目に挑戦。

 

「アレ?困った~わからなくなった」

でも大丈夫、皆で助け合います。

オリジナルな動きも取り入れたり、新鮮です。

「え?あっちのグループなんか進化している~!」

それぞれのグループの作品を発表し合い、讃え合います。

面白いケチャが3つ仕上がりました!

今後は先生方がそれぞれの学校の授業で、生徒に合った言葉遊びなどアレンジしても良いし、バリ風に寄せても良いし、どうぞご自由に!

実際、昨年度のガムランの曲を学校にあるグロッケンなどの楽器でアレンジして使ってくださった先生も!動画を見せてくださって、感動しました。

 

そして後半はガムラン演奏体験。

参加者が多いので初めての方は楽器の表から、2回目の方は裏からと、1台に2人ずつでコテカンのリズムの掛け合い。

皆さん、さすが優秀です。教え合ってあっという間に仕上がっていきます。

 

 

去年までしにくかった密になっての演奏、楽しいなあ。

勘の良い先生方が集まっていて、緻密なデザインの演奏にもチャレンジできて満足。

バリガムランの音世界の面白さ、素晴らしさを高校生に伝えていただけると嬉しいです。
世界は広い、まだまだ知らない面白い音楽がある!
心の間口もきっと広がることでしょう!!

小林江美」

 

 

大学院音楽学研究室とは?

大学院進学をお考えのみなさん

 

音大は実技が中心の大学ですが、大学院には音楽学研究室があります。

特徴としては、少人数、ほとんどマンツーマンの授業であること、自分で選んだ演奏系の科目を履修できることです。

例えば、チェンバロなら毎週90分の個人レッスンを受けることができます。指導教員も希望する先生を外部から(学内ももちろん)招聘することが可能です。(過去の例として、合唱指揮、バロックヴァイオリン、フォルテピアノなどが挙げられます)

また、論文ゼミ、特殊研究、文献講読は自分の研究テーマに沿って、オーダーメイド的な授業になります。

大学院の指導陣は他大学(京都市立芸大、関西学院大学など)でも教鞭をとっています。

博士課程はありませんが、博士論文の指導や審査も他大学で行なっていますので、修士のあと、他大学の博士課程を考えている場合、それに見合った指導が可能です。

修士を修了した後、教職、指導者など教育現場に出る場合や音楽マネジメント関係のキャリアを目指す場合も、学部ではできなかったより専門的な学びが可能です。

また演奏家を目指す場合もあります。一例ですが、古楽について演奏実践と研究を結びつけて指導を受けることが可能です。

学部の四年間を実技中心で過ごし、このまま教壇に立つのは自信がない、あるいはもっと深く音楽を取り巻く社会や文化について学びたい、という方には大学院をお勧めしたいと思います。

古楽カフェや学校音楽の映像教材制作など、音楽学研究室は多彩な教員により活発に研究活動、実践活動を展開しています。

お気軽に相談してみてください。

 

メール:ongakugaku@daion.ac.jp

オフィスアワー:水曜4限

 

音楽学研究室主任  井口淳子