大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

卒業生たちの活躍・リコーダーデュオ<花笑み>

12月14日(土)に逸翁美術館マグノリアホールにてリコーダーの織田優子さんと山本佳美さんのデュオ<花笑み>に師匠の神谷徹先生ほかが共演されたコンサートが開催されました。

織田優子さんの朗読とバードやバッハのバロック作品でキリストの生誕物語をつづる第1部が圧巻で、構成、聖書などテキストの選定、作品の選択、演奏のレベル、まさに音楽学をまなび、リコーダー歴?十年のお二人の魅力がつまった演奏会でした。

織田さんのことばから。

「日本で最初のクリスマスの記録は、天文21年12月10日(1552年12月25日)だそうです。
今では年中行事の一つとしてすっかり定着したクリスマスは、どのように日本で広まっていったのか。サンタクロースとは一体何者なのか。

今回のクリスマスコンサートを企画するにあたり、最初に浮かんだ問いから、キリストの生誕物語や聖ニコラウス祭、北欧のユール、日本の冬至祭... 色んな角度から少しずつ調べ始めました。

その作業は、まるでクリスマス・イヴの夜にサンタクロースがソリに乗り世界中の子供たちのところへ巡る道筋を追うかのようで、私にとっても素晴らしい時間でした!」

 

 かつての教え子の成長著しい姿というプレゼントを受け取った一足早いクリスマスでした。(井口)

 

f:id:ongakugaku:20191216064616j:plain

 

民族音楽合同(ガムラン・シタール)発表会(1月16日)

早くも師走の足音が聞こえ始めました。

来年1月14日にシタール発表会、そして16日にはシタールガムランの合同発表会が開催されます。

16日の合同発表会はお昼休みに設定されていますので、ランチタイムに南国の楽園ムードを楽しみにF434教室にお越しくださいませ。

そして、大学院音楽学研究室は毎週火曜日午後に公開授業を行っています。

見学希望の方は前もって、メールで予約を入れてくださいませ。

アドレスはongakugaku@daion.ac.jp

1月以降の修士論文ゼミを見学することができます。(井口)

f:id:ongakugaku:20191129165208j:plain

f:id:ongakugaku:20191129165724j:plain

 

<ヨーゼフ・ラスカ 音の架け橋>リポート(松本京子教員)

「ヨーゼフ・ラスカを知っていますか?」と題して投稿した公演「日本-オーストリア友好150周年記/宝塚市・ウィーン市第9区姉妹都市提携25周年記念<ヨーゼフ・ラスカ 音の架け橋>」が先日無事終了しました。
(11月7日、宝塚ベガ・ホール)

演奏者と音楽学者のチームにより大きな成果となった公演の様子を松本からご報告します。

f:id:ongakugaku:20191126055420j:plain

左から、根岸一美(お話)、前田朋子(ヴァイオリン)、日野妙果(メゾソプラノ)、ヨハネス・ヴィルヘルム(ピアノ)の皆さん

1920-30年代に宝塚歌劇のオーケストラを指揮したオーストリアの音楽家ヨーゼフ・ラスカを中心に同時代に両国を行き来した音楽家幸田延にその先生ディットリッヒ、フックスらの作品を集めたユニークなプログラムは、ウィーンに長く拠点をおき活動する旧知のメゾソプラノ日野妙果さん、ヴァイオリン前田朋子さんの発案によるものでした。


全プログラムはこちら

f:id:ongakugaku:20191126055438j:plain

プログラムには、シャレンベルグオーストリア外務/文化大臣、ハイッス駐日オーストリア大使からもご挨拶文を頂きました。

国内では東京(王子ホール)、名古屋(宗次ホール)と宝塚の3か所で、ウィーンではエゴン・シーレのコレクションで有名なレオポルド美術館ほかプライベートコンサートでも同じプログラムによる公演が行われ、現地でも大好評だったそうです。

 

宝塚公演は、ブルックナー作品の日本国内での受容をする過程で、彼の作品を日本初演していたヨーゼフ・ラスカを知り研究を深め、ラスカの評伝を日本語、ドイツ語で発刊された根岸一美・大阪大学名誉教授によるお話を交えた構成となりました。
この日演奏した音楽家たちの交流を、公演タイトル「音の架け橋」にちなみ「関東1号橋」「関東2号橋」「関西橋」と名付けてのお話は、西洋音楽黎明期の日本で、日墺両国を駆け抜けた音楽家の人生に思いをはせ、鑑賞をさらに深める貴重なものでした。

当日演奏された作曲家の人物相関図。東京、名古屋公演のプログラムにも掲載。お客様から大変ご好評を頂きました!(作成は松本)

f:id:ongakugaku:20191126055450j:plain

ラスカが万葉集や俳句にインスピレーションを受け作曲した歌曲作品「万葉集歌曲」「7つの俳句~フルート、ソプラノ、ピアノのための~」(今回はヴァイオリン版による演奏)は、日本語からドイツ語に訳された詩に、ラスカが曲をつけたものです。

日本的な旋律と、独自のダークな色合いでありながら透明感のあるハーモニーで厚みもあるピアノパートからなる作風には、はじめてラスカ作品を聴く音楽関係者の皆さんからも称賛の声が多く寄せられました。国内外で、この宝塚ゆかりの作曲家ラスカの作品がもっと演奏されるようになればとの思いが芽生えました。
(当日演奏の音源を公開準備中!)

f:id:ongakugaku:20191126055603j:plain

また、1895年、初めての政府派遣留学生としてウィーンへ渡った幸田延(のぶ)のヴァイオリン・ソナタ第1番は、近年少しずつ知られるようになりましたが、日本人がこの時代に西洋音楽の様式を見事に吸収し、自身の音楽を生き生きと作品で表現していたことに驚きと感銘を受けたとのお声も多くいただきました。

宝塚公演の締めくくりは「ウィーンと宝塚をむすぶ歌」と題した2曲。
すみれの花咲く頃宝塚歌劇の愛唱歌)そして♪ウィーン、わが夢のまち。
アンコールに ♪さくらさくら
日本とオーストリア両国の更なる友情を願い、お開きとなりました。

最後になりましたが、企画協力・監修として多大なるご尽力を頂きました音楽学者のお三方、根岸一美、佐野旭司、前田昭雄の皆様、共同主催の宝塚市文化財団の皆様ほかご協力、ご後援を頂きました皆様に深く感謝申し上げます。

前田朋子オフィシャルFacebookページ
日野妙果オフィシャルFacebookページ

 

                                (松本京子

大学院音楽学研究室のカリキュラム

大学院音楽学研究室のカリキュラムは大学公式ウェブサイトにも簡単に紹介されていますが、少し詳しくご説明したいと思います。

修士課程の2年間、最終的には修士論文を提出して修士学位を取得します。

主な授業は、次のとおりです。(全て毎週90分授業)

音楽学研究 修論ゼミ 一対一の個別授業です。

音楽学特殊研究 合同授業で、テーマは受講生の研究テーマによって変化します。

3音楽研究実習 希望する楽器や専門分野の実技指導を受けることが可能です。個別指導が基本です。

4文献研究 外国語文献を講読する授業です。合同が基本です。

その他、「修士リサイタル」や「芸術文化の諸相」といった他の研究室の院生と合同の科目もありますが、1〜4は音楽学生のみが対象です。つまり学年に1名であれば、個別授業に、複数名が在籍するときは合同授業に、といった贅沢なカリキュラムです。

来年度は2名が入学予定ですが、各人の研究テーマや使用する外国語が異なるため、やや個別の形態が多くなりそうです。

研究室には2名の専任教員以外に、多彩な講師陣がおられますので、おおよそどのようなテーマであっても対応できるはずです。

入試は9月と2月の3月の2回行われ、来年3月6,7日に後期入試が行われます。

現在2年生の修士論文発表会は来年、3月5日(木)15時からF215教室で開催されます。

しばらく途絶えていた修士論文発表会ですが、どなたでも参加自由(申し込み不要)ですので、大学院や音楽学に関心がある方、現役学生でも社会人でも見学がてらお越しくださいませ。

 

バロック音楽とバロック・ダンス演奏会、全員でダンス!

昨日、10月31日(木)の17時より予定どおり、バロック音楽とダンスの演奏会を開催いたしました(プログラムは前々回投稿をご覧ください)。

トップバッターは金山将太さんのチェンバロ・ソロ、そして井幡万友美教員のチェンバロについての解説、次にヴィオラ・ダ・ガンバの上田牧子教員の演奏、伴奏は京谷政樹教員です。

レクチャーを兼ねていますので、演奏の後には楽器の構造や通奏低音とは?といったお話が結構長く続くのですが、熱心にメモをとる人もいるほどに皆さん集中して聴講されていました。

後半は、大学院修了生の片山美穂さんの歌に京谷教員の伴奏、前期も同じ曲を演奏されましたが、今回はぐっと2人の息があった素晴らしい共演となりました。

集まったのは20名ほどの在学生でしたが、熱心な学生ばかりで、終了後もみなさん楽器を体験したり、先生方に質問したりと盛り上がりをみせました。

ふだんの大教室の音楽史の授業などにあきたりない部分がこういった小さなレクチャーコンサートでカバーできる、という手応えも感じられました。

最後は樋口裕子教員によるダンスです。チェンバロとガンバの伴奏による贅沢なバロックダンスを堪能した後は、全員でメヌエットをステップ、これがなかなか難しいのです。前へ後ろへ、とチェンバロに合わせてステップをふみ、音楽のリズムってここから生まれている、と納得の体験で締めくくられました。

 

今後もこういったアットホームな催しを通してじわじわとバロックブームを学内に起こしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

 

司会進行の能登原由美教員、上田、京谷教員

f:id:ongakugaku:20191101082046j:plain

修了生、片山さんと京谷教員

f:id:ongakugaku:20191101082013j:plain

バロックダンスの樋口教員

f:id:ongakugaku:20191101081929j:plain

 

11/7公演!ヨーゼフ・ラスカを知っていますか?

短大前期授業「音楽探検」担当、松本から、制作協力している公演のお知らせです。

日本とオーストリアの修好150年である今年、きたる11月7日、宝塚ベガ・ホールで、
1920-30年代に宝塚歌劇のオーケストラを指揮したオーストリアの音楽家ヨーゼフ・ラスカを中心に
同時代に両国を行き来した音楽家の作品を集めたコンサートが行われます。

「ヨーゼフ・ラスカ 音の架け橋」

f:id:ongakugaku:20191028132208j:plain




公演詳細リンク
http://office-vega.net/?p=9266

ウィーンに長く住まい、ヨーロッパと日本を行き来するヴァイオリン前田朋子さん、メゾソプラノ日野妙果さんと、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学で教鞭をとり特に室内楽、歌曲伴奏の分野で活動するピアニスト、ヨハネス・ヴィルヘルムさんが来日します。

東京・王子ホール(11/5)、名古屋・宗次ホール(11/2)でも同内容で行われる今回の公演、宝塚公演ではなんといっても
宝塚歌劇のオーケストラを指揮し1930年代にブルックナーの作品を日本初演神戸女学院でも教鞭をとったラスカが
身近に感じられる存在です。

演奏曲目は、ラスカが万葉集や俳句に強く影響を受け作曲した歌曲のほか、
日本で初めての政府派遣による留学生、幸田 延のヴァイオリンソナタ、彼女が東京で師事したルドルフ・ディットリッヒが
日本で作った歌、幸田延の留学先ウィーンでの先生ロベルト・フックスに、彼女が留学から帰国後に指導した山田耕筰、瀧廉太郎の作品など、
ザルツブルクの図書館でこの公演のために探しあてた貴重な楽譜も用いての充実した内容です。


f:id:ongakugaku:20191028132147j:plain

当日演奏する作曲家とその周辺の音楽家の人物相関図 当日お配りするプログラムに掲載いたします。鑑賞のおともに!

特に、ヨーゼフ・ラスカの「万葉集歌曲」「7つの俳句」は、日本の文化にウィーンへ戻った晩年も思いを寄せていたラスカからみた日本の美点と
西洋音楽の手法の両方が、メロディやハーモニーに反映され大変聴きごたえのある作品です。
日本では演奏機会がほとんどありませんが、今回の東京、名古屋、宝塚での演奏を機会に、多くの方に知っていただければと願っています。
また、今回の企画には、研究者の方々の力が不可欠で、根岸一美、佐野旭司、前田昭雄の3氏には企画監修・協力として心強いサポートを頂いています。


本学ミュージックコミュニケーション専攻に実行委員会が置かれ、来年度から本格開始の「阪急宝塚線ミュージック駅伝MOT」プレイヤー参加事業でもあるこのコンサート、ぜひ多くの学生の皆さんの来場もお待ちしています!
(学生料金あり!)


〇公演概要

日時:2019年11月7日(木)19:00開演(18:30開場)
会場:宝塚ベガ・ホール

出演
・前田朋子(ヴァイオリン)
・日野妙果(メゾ・ソプラノ)
ヨハネス・ヴィルヘルム(ピアノ)
・根岸一美(お話)

曲目
〇ロベルト・フックス /ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調 作品33 から  第一楽章

〇ルドルフ・ディットリッヒ/
 ・せっせっせ   
 ・お江戸日本橋  「日本楽譜」より

〇瀧廉太郎 /
 ・花  (武島羽衣 詩)  
 ・メヌエット (ピアノ独奏)

〇オイゼビウス マンディチェフスキ /『昇りゆく満月』
   ~ソプラノ、ヴァイオリン、ピアノの為の曲 

〇ヨーゼフ・ラスカ/万葉集歌曲(全5曲)

〇ヨーゼフ・ラスカ/ソプラノ・フルート・ピアノのための『7つの俳句」(ヴァイオリン版)

〇幸田 延/ヴァイオリン・ソナタ第1番変ホ長調

山田耕筰
 ・からたちの花
 ・鐘が鳴ります
 ・たたえよ、調べよ、歌いつれよ 他


企画協力・監修
・根岸一美(音楽学者、大阪大学名誉教授、元同志社大学教授)
・佐野旭司(音楽学者)
・前田昭雄(音楽学者、指揮者、ウィーン大学名誉教授、上野学園音楽大学学長)


入場料
・全席自由 
・一般 4,000 円 学生2,000 円

チケット/お問合せ
(公財)宝塚市文化財団 0797-85-8844 日・祝休み
https://www.t-clip.info/

10月31日(木)バロック音楽とバロックダンスの演奏会

きたる10月31日(木)17時よりB207教室にてバロック音楽とダンスの演奏会を学内で開催いたします。在学生限定ではありますが、バロックダンスをチェンバロヴィオラ・ダ・ガンバの生演奏で体験できる貴重な機会です。

ふるってご参加くださいませ!

 

PROGRAMME

  

1 チェンバロ                            金山将太

 

・J.S. バッハ:《シンフォニア第5番 変ホ長調 BWV791》

・「チェンバロって?」―解説と体験

・J.P. ラモー:《運指の教則本付きクラヴサン曲集》〈組曲イ長調/イ短調〉より「ため息」

 

 

2 ヴィオラ・ダ・ガンバ            ヴィオラ・ダ・ガンバ上田牧子/チェンバロ:京谷政樹

 

・T. ヒューム:兵士のガリアルド

・「ヴィオラ・ダ・ガンバって?」―解説と体験

・M. マレ:《ヴィオール曲集第3巻》より〈プレリュードとファンタジィ〉

 

 

3 バロック歌曲                     ソプラノ:片山美穂/チェンバロ:京谷政樹

ヴィオラ・ダ・ガンバ上田牧子

 

  ・G. カッチーニ:アマリッリ麗し

・「バロック時代の歌曲と通奏低音」―解説

 

 

 

4 バロックダンス                  バロックダンス:樋口裕子チェンバロ:井幡万友美

ヴィオラ・ダ・ガンバ上田牧子

 

・J. S. バッハ:《パルティータ第1番BWV825》より〈メヌエット

・J. S. バッハ:《フランス組曲第5番BWV816》より第7変奏「ジーグ」

・「バロックダンスって?」―解説と体験

・A. カンプラ:《ヴェネツィアのセレナード》より「フォルラーヌ」

 

司会・進行 能登原由美

 

f:id:ongakugaku:20191021083949j:plain