◆日時:2013年10月19日(土)16:00-18:00
◆会場:大阪大学 豊中キャンパス 文法経講義棟 文13教室
◆アクセス:阪急宝塚線「石橋駅」下車徒歩15分/大阪モノレール「柴原駅」下車徒歩10分。
◆地図:キャンパスまでの地図 http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/accessmap.html
キャンパス内の地図 http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/toyonaka/files/Part_A.pdf
〈講演〉
ズビグニェフ・スコヴロン(Zbigniew Skowron、ワルシャワ大学史学部音楽学学科教授)
"Tradition and Modernity in the Music of Witold Lutoslawski"
(ヴィトルト・ルトスワフスキの音楽における伝統と現代性)
※「Lutoslawski」の「l」にはクレスカ(/)がついています。
※講演は英語です。以下は要旨の和訳となります。
イーゴリ・ストラヴィンスキーやベーラ・バルトークと同様、
20世紀音楽の古典という呼称によって形容されるヴィトルト・ルト
スワフスキの作品だが、伝統とモダンの両様の要素をきわめて独特
な仕方で結合したその音響語法は、同時に、初めて耳にしてただち
にルトスワフスキと感知される、すぐれて個性的なフォルムと性格
を有する。古典主義及びロマン主義音楽から継承され来たった広い
意味での伝統とルトスワフスキとの繋がりは、一つの流れとして見
ることが可能だが、その端緒は、リムスキー=コルサコフ流の後期
ロマン派的伝統の継承者だったヴィトルト・マリシェフスキに師事
したワルシャワ音楽院時代の作曲教育の中にあった。やがて20世紀
30年代の終わり、作曲家として出発したルトスワフスキは、音楽伝
統との相互対話を基本姿勢の一つとする新古典主義の潮流に身を置
く。1956年以後、ポーランドにも芸術家にとっては良好な政治・文
化状況が到来し、芸術における社会主義リアリズム・ドクトリンの
支配は決定的に終焉するが、その中でルトスワフスキも自らの音楽
的プロジェクトを全面的に展開することが可能となった。そのプロ
ジェクトにおいて、新たに一連の対話を開始したのが伝統と現代性
である。
私の講義では、音高と時間をどのように組織するかという問題に
おけるルトスワフスキの基本的かつ現代的な態度について、また音
の「アクション」、二分割形式、チェイン(鎖)技法といった彼の
方法について集中的にお話しする。ルトスワフスキの十二音和声法、
制御された偶然性、様々な形式的ソリューションなどの記述にあたっ
ては、具体的な作品を例に引きながら、(1)音楽作品の伝統的要
素に対するルトスワフスキの創造的アプローチ、(2)前衛音楽か
ら得たヒントの合理的な制御による処理、(3)音楽を知覚するプ
ロセスにおける独特な音楽的ドラマツルギーの意味合い──といっ
たポイントを提示したい。
進行:伊東 信宏(大阪大学)
(お)