大学院音楽学研究室ブログ-Osaka College of Music

大阪音楽大学大学院音楽学研究室に関連するお知らせをお伝えしていきます。研究室mail address:ongakugaku@daion.ac.jp 最新情報はTwitterで!

授業の風景・雅楽演習(学部選択・水曜2限)

 今年は平成から令和への改元にまつわる儀式などで、しばらく雅楽の音をメディアから耳にする機会も多くなりそうです。

  先日、楽器資料館でも見学し、その1300年を越える歴史に驚きの連続であった雅楽について、「雅楽演習」の授業を見学しました。

 

 学部生が選択できるこの授業では、前期に篳篥龍笛、笙の三管の演奏法と合奏の演習を毎週行っています。

 見学ではありましたが、ご担当の前川哲雄先生のご配慮で、やってみたい楽器を触らせていただけることに!(ありがとうございました!)

 

 雅楽は、西洋音楽とは楽譜も、拍の感じ方も異なります。

 「間(ま)」が拍の中に、次の準備をするために必要な要素として取り込まれているのですが、西洋音楽で均等な拍節感を叩き込まれていると、雅楽の拍子をとろうとすると頭とカラダがちぐはぐに(汗)

  また、楽譜では「越天楽」での篳篥龍笛の冒頭が「チラロル〜」と唱歌(しょうが)で表記され、拍の長さや小節にあたるのは漢数字や丸印。ほぼ外国語を学ぶような感覚でした。

  私が触らせて頂いた17本の竹の筒からなる笙では、そのうち15本の竹を、手のひらで楽器を包むようにし、指を微細にずらしながら音を変えます。

  円状の運指表では、例えばリコーダーなどの運指表に慣れている頭の回路が、容易に切り替わらないことも痛感、しかしながら、指をなんとか押さえ息を吹き込んでみると、まるで虹のシャワーが降り注ぐような衝撃!

 8世紀の日本に、すでにこうした楽の音を美しいと感じる文化が根付いていたわけですね。バッハの生まれる実に1000年近く前のことです。

  以下、履修生の皆さんからは

下記のような声が聞かれました。

  • タンギングは絶対してはいけないというのになかなか慣れなかった。日本の笛は全てしないそうだ。
  • 楽器の取り出し方、置く方向など、ひとつひとつの所作に意味があり、次の行動へとスムーズにいけるようにされていて、昔の人はとても合理的だと思った。
  •  もっと雅楽について学びたいと思ったので、また図書館や楽器資料館に行こうと思う。

                             (松本京子

笙と龍笛 唱歌(しょうが)が記された雅楽

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前川先生

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6月24日(月)バロック演奏会「魅惑のバロック、チェンバロからダンスまで」

バロック演奏会「魅惑のバロックチェンバロからダンスまで」のお知らせです。

6月24日(月)17時開演、B401教室

 

出演者

井幡万友美 IBATA Mayumi  (チェンバロ・本学講師)

京谷政樹   KYOTANI Masaki (チェンバロ・本学講師)

上田牧子    UEDA Makiko        (ヴィオラ・ダ・ガンバ・本学講師)

樋口裕子  HIGUCHI Yuko        (バロック・ダンス・本学講師)

片山美穂  KATAYAMA Miho     (声楽・ソプラノ・本学大学院修了生)

金山将太  KANEYAMA Shota     (チェンバロ・本学ピアノ専攻4年)

能登原由美 NOTOHARA Yumi     司会進行・解説 

 

チェンバロ演習と短大音楽史「世界と日本の音楽を考える」の合同授業として企画されましたが、特別ゲストとしてバロックダンスの樋口裕子先生、大学院修了生の片山美穂さんらをお迎えして、90分の充実したプログラムとなっています。

学内、どなたでも入場自由(事前申し込み不要)です。

お誘いあわせの上、ご来場をお待ちしています!

 

詳しい情報は当ブログおよび研究室Twitterで更新していきます。

 

昨年の「音楽史まるごと演奏会」バロックダンスの様子

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授業の風景・諸民族の音楽(インド・シタールの回)

諸民族の音楽(学部・教職必修科目)は80名近い大人数のクラスです。

西洋音楽を専門とする学生にとってこの授業は未知の音楽との出会いの場です。

前期授業も中盤にさしかかり、熱心にきく学生と後方で携帯に見入っている学生とに二分されていることが気になってきていました。

ちょうど、授業がインドの回になったので、シタールの田中峰彦先生に講義と実演をお願いしました。もっとも難解なインド音楽理論、ラーガとターラも演奏家としての解釈をもとにかみくだいて説明してくだり、学生にインド階名唱やインドリズムの手拍子を体験させる場面では、とてもノリがよく、後半のシタールソロの聴き方も熱が入っていました。

ただ、驚いたことは、すぐ眼の前でシタールが演奏され田中先生お得意のシタール弾き語りが披露され、もう一つの予備のシタールを全員に回しても、あくまでも携帯を見続けた受講生がいたことです!

授業後に回収したレポートには全員がきちんと感想などを書いていたので、携帯をみつつシタールや講義をきくすごい能力をもっている学生がいるということですね…。眼や耳が四つあるのでしょうか??

さて、H号館212音楽学資料室では、受講生の希望にそって、シタールサントゥールリュート、その他の楽器を体験できるのです。月から水の昼休みに開室していますので気軽に尋ねてみてください!楽器初心者用の映像もシタールヴィオラ・ダ・ガンバ、箏、三味線など数種類そろえています。

シタールの田中峰彦先生、座奏を椅子の上でためされました。手前は体験用のシタール

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授業の風景 音楽探検(part 2)楽器資料館

「音楽探検」(水曜2限・短大選択)の授業で今回は、楽器資料館を訪ねました。
2000点の所蔵楽器のうち1400点が日本の楽器で、日本の楽器数は国内随一だそうです。(ということは世界的にも貴重ですね!)

 音楽史等の授業でもみなさんご存じの通り、クラシック音楽を扱う西洋音楽史では、例えばバッハが生まれたのが1685年、ベートーヴェンは1770年、日本では江戸時代。最近特に注目が高まっている古楽と呼ばれるカテゴリで15〜16世紀です。 それに対して、資料館を入ってすぐに展示されている、コトを奏でる埴輪(レプリカ)は5世紀、笙や篳篥を奏する雅楽の存在は、701年の大宝律令に明示されているなど、バッハやベートーヴェンの生きた時代からおよそ1000年も遡った時代のことなのでした。 先ごろの天皇陛下の譲位、改元の折の儀式の報道から聴こえた楽の音もさかのぼれば千年以上の歴史があります。宮廷でおこなわれる種々の楽舞の演奏や伝習を行う公的な機関として、「雅楽寮(ががくりょう:「うたまいのつかさ」とも)」が設置され、400人の楽人がそこに仕えていたことは国の統治と音楽が密接に結びついていたことを示しています。それが今日まで引き継がれているのですね。 また、琵琶のコーナーでは、世界地図とともに、古代ペルシャ(イラン)からシルクロードを辿り日本へと、土地土地で形を変えながら旅をした楽器に、悠久のロマンが香ります。 資料館中央部は、西洋音楽の楽器が。モーツァルトの頃からリスト、ドビュッシーの時代まで作曲家や演奏者の要望でみるみる発展したピアノを6台、実際の音を聴き比べました。 そして一番奥には、アジア、アフリカ、オセアニアの楽器がならび、一気にエキゾチックな雰囲気。西洋音楽のドレミ音階で作られた作品を演奏する楽器と、そうでない楽器の違いは、五感に鮮やかで南米大陸、アフリカ生まれのブォォォ〜ン、チュルルル…と揺らぎ満点な鳴り物楽器に、しばし夢中になりました。 個人的には、文楽の太棹三味線で毎回陶然となり、時に心地よいまどろみに誘われるこの現象は、何か西洋音楽のドレミでないところへの身体反応なのではと日頃から感じています。
 ドレミの音楽が、日本の現代社会で大きなシェアを占めているのは間違いのない事実ですが、46億歳の、このまぁるい地球の歴史から見れば、その一部のエリアで、ほんのここ数百年に急速に発展した文化のうちの一つであることも事実です。 古来からの世界中の楽器を媒介に、歴史の縦軸、移動伝播〜地理という横軸を意識すると、音楽と私/クラシックと私/といった、音楽に関わる限り考え続ける命題に1つの手がかりが生まれるように思います。 楽器資料館は学内はもちろん、一般の方にも公開されており、見学ツアーも定期的に開催されています。 詳しくはこちらから。
https://www.daion.ac.jp/campus/museum/ 今回、解説をして頂いた学芸員をはじめスタッフのみなさん、大変お世話になりありがとうございました(松本京子)。

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授業の風景・「音楽探検」(水曜2限・短大選択科目・松本京子先生)

新学期が始まり1ヶ月が過ぎました。音楽学の先生方が開講している授業を順次ご紹介していきます。まず第1回は音楽探検(短大選択科目・水曜2限)です。

音楽探検(短大の科目)は、学内外の、個人では足を運びにくい施設の見学や演習、公演のゲネプロ見学などで見聞を広めることを目的としています。
写真は大学図書館の見学で、地下の閉架書庫へ入った時のもの。
この日は本学卒業生でもあるスタッフの宝城さんに、1時間以上かけて、じっくり案内頂きました。
みんな膨大な楽譜や書籍、音源の資料に圧倒されていました。
楽譜では、帯出禁止ですが、貴重な資料も見せていただきました。
もう一枚の写真は、山田耕筰「赤とんぼ」の自筆譜ファクシミリ
読みやすく綺麗な楽譜でした!
他に、ショパンのピアノ協奏曲第1番の自筆譜ファクシミリなども。

事後の感想では、
◯これまでほとんど図書館を利用していなかったが、貴重な映像や楽譜も沢山あることがわかった。学生の間に思う存分活用したい。
OPAC検索のコツがわかり、今後の楽譜の検索に役立てる。
◯観たいミュージカルや映画のDVDがあることがわかり、これからはどんどん利用したい。展示の仕方でスタッフの方が工夫されているのも知ることができた。
などの声がありました。

図書館を活用できるか否かで、学生生活の充実度はグンと変わりそうです。
今後は学外ホールで行われる一般の公演のゲネプロ見学や、大学の楽器資料館、またオペラハウスの見学、音楽学部会で所有するリュートサントゥールシタールなどに触れる回などを予定しています。

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図書館書庫

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書庫・地下


 




シンポジウム「『戦争/暴力』と人間ー美術と音楽が伝えるものー」終了しました

4月14日(日)にシンポジウム「『戦争/暴力』と人間ー美術と音楽が伝えるものー」をコーディネートされた能登原由美先生からのご報告です。

公開シンポジウム(日本音楽学会西日本支部特別例会)を無事に開催することができました。当日は雨にも関わらず、関西のみならず関東方面からも多くの方にご来場いただきました。また、短い発表時間でしたが非常に濃密な内容のご発表をいただくとともに、フロアから数多くの質問やコメントをいただき、後半の議論も大変熱を帯びたものとなりました(その議論の続きは懇親会でも展開されました)。

ご来場いただいた皆様には、改めて感謝を申し上げます。

また、司会とコメンテーターを務めてくださった柿木伸之さん、貴重な発表と資料をご提供いただいた平瀬礼太さん、戸ノ下達也さん、井口淳子さんにも改めて感謝を申し上げます。

なお、シンポジウムの内容とその報告などは、改めてシンポジウム・ウェブサイトなどに掲載させていただきます。

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京谷政樹助手のリサイタルご案内

京谷政樹助手のリサイタルご案内です。

 30歳の節目に今できる最高の演奏をと気合い十分です!

 ご来場、心よりお待ちしています!!

 

MASAKI AND FRIENDS
ヘンデル、バッハ、そしてラモー

【日時】
2019年3月21日(祝) 14時開演(13時30分開場)

【会場】
日本基督教団 立花教会
兵庫県尼崎市立花町4-6-30

【アクセス】
JR立花駅より道意線を北へ徒歩約7分

【チケット】
一般前売2500円(当日3000円)
学生前売1000円

【ご予約・お問合せ】
inventio_hpschd@yahoo.co.jp

【出演】
京谷政樹(チェンバロ
上田牧子(ヴィオラ・ダ・ガンバ
時本さなえ (ヴァイオリン)
峯本大地(カウンターテナー
山本佳美 (リコーダー)

【曲目】
G.F. ヘンデル:私を泣かせてください
G.F. ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 作品1-3, HWV361
G.F. ヘンデル:リコーダー・ソナタ ハ長調 作品1-7, HWV365
J.S. バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバチェンバロのためのソナタ 第2番 ニ長調 BWV1028
J.Ph. ラモー:クラヴサン・コンセール 第5番
ほか